#topicpath
* 河豚板のシリアルコンソール対応 [#s510934d]
RIGHT:EBUG 第68回会合 ~
2019年2月23日、(有)銀座堂 ~
川俣吉広、kaw@on.rim.or.jp

** シリアルコンソールを使用するケース [#g54897f2]
OpenBSDを使っていると、以下のようなケースでシリアルコンソールを使用する場合がある。

-OpenBSD/arm64をラズパイ3等で動作させる場合
--HDMIがまだサポートされていないので、デフォルトでコンソールがシリアルとなっている

-OpenBSDを[[vmm(4)>https://man.openbsd.org/vmm.4]]のゲストOSとして動作させる場合
--vmmはビデオ出力をサポートしていないため、コンソールが仮想端末(/dev/ttyp??)となっている~
(コンソールへのアクセスはインスタンス起動後に[[cu(1)>https://man.openbsd.org/cu.1]]などを用いる)

-OpenBSDの起動メッセージのtranscript取るためにQEMUを-serial stdioオプションを付きで使う

-盆栽のような、headless運用の場合
--メモリ節約のためVGAドライバを入れていない、あるいはリモートブートのため

-etc...

OpenBSDをシリアルコンソールで運用するには以下の操作を行う。

-シリアルデバイスからログインできるように、あらかじめ[[/etc/ttys>https://man.openbsd.org/ttys.5]]を編集しておく
 tty00   "/usr/libexec/getty std.9600"   vt220   on  secure
                                  ↑             ↑
          実際のラインスピードに合わせる    gettyを有効にする

-起動直後のブートプロンプトに対し、以下のように入力する
 boot> set tty com0    ←VGAなどに表示される
 boot> [Enter]         ←シリアルデバイスに切り替わって出力される

-あるいは、前項の入力内容を[[/etc/boot.conf>https://man.openbsd.org/boot.conf]]に記述しておく。

-OpenBSD/arm64では、デフォルトでシリアルコンソールとなっているため、上記設定済みでインストールされる。

** 河豚板での問題点 [#d966acd9]
通常のOpenBSDをHDD等へインストールする場合であれば、インストール時に
 Change the default console to com0? [no]
と訊かれるため、これにyesと答えれば上記の設定が行われる。

一方、河豚板ではデフォルトでは毎回fresh bootとなるため、このような設定をあらかじめ作り込んでおくことができない。
そのため、別のアプローチを取る必要がある。

さらに、bootプロンプト(又はboot.conf)で設定したボーレートと/etc/ttysに記述されているエントリが合っていない場合、途中で通信速度が変わってしますため、端末側の通信速度をそれに合わせてやらなければならない。
さらに、bootプロンプト(又はboot.conf)で設定したボーレートと/etc/ttysに記述されているエントリが合っていない場合、途中で通信速度が変わってしまうため、端末側の通信速度もそれに合わせてやらなければならない。

** 対応策 [#j242f55d]
河豚板では、OpenBSD本来の初期化スクリプト[[/etc/rc>https://man.openbsd.org/rc]]に先立ち、/boottmp/rcという独自の初期化スクリプトが実行される。~
シリアルコンソール対応として、/boottmp/rc内で以下の処理を行うこととした。

-コンソールがシリアルデバイスかどうかの検出を行う

-シリアルデバイスの場合、その伝送速度を取得する

-検出した結果に基づいて/etc/ttysの書き換えを行う。

実際に/boottmp/rc内に追加したコードは以下のようになる。
 -        echo "Keyboard type;"
 -        while :; do
 -            kbd -l | sed -e '1,3d; /^$/d' | sort | paste - - - -
 -            echo -n '-> '; read kbtype
 -            if kbd $kbtype; then
 -                echo $kbtype > /etc/kbdtype
 -                break
 -            fi
 -        done
 +        if dmesg | grep -q '^.* at .*: console keyboard'; then    ←コンソールがwsconsデバイスの場合のみ
 +            echo "Keyboard type;"                                   キーボードレイアウトを設定するように変更
 +            while :; do
 +                kbd -l | sed -e '1,3d; /^$/d' | sort | paste - - - -
 +                echo -n '-> '; read kbtype
 +                if kbd $kbtype; then
 +                    echo $kbtype > /etc/kbdtype
 +                    break
 +                fi
 +            done
 +        fi
  
 -        echo "Please wait ... "
 +        #------------------------------
 +        # serial console (for vmm/vmd)
 +        #                                                 ブートメッセージに「com0: console」が
 +        if dmesg | grep -q '^com0: console'; then      ← 出力されたらシリアルコンソールと判定
 +            ttyspeed=`stty speed`                      ← ボーレートを取得
 +            sed -i.orig -e 's|^tty00[  ].*|tty00       "/usr/libexec/getty std.'${ttyspeed}'"  vt220   on  secure|' /etc/ttys
 +        fi                                   ↑
 +                            /etc/ttysファイルの該当エントリを書き換えて
 +        #---------------    シリアルデバイスからログインできるようにする。
 +        # root password
 +        #
          until passwd root
            do
            echo "passwd failed, Try again."
          done

**まとめ [#a6c32cda]
以上の改修により、河豚板が起動された環境がheadless運用の場合などにシリアルコンソールを自動的に有効化し、スムースに運用することができるようになった。

河豚板ではLive Systemの特徴を活かすため起動時に環境を自動検出し、動的に設定を書き換えるようになっている。
例を挙げると;

-起動時に全ストレージデバイスをスキャンし、河豚板用のデバイスやスワップパーティションを有効化する

-全デバイスのスキャン結果やユーザの指示を基にファイルシステムのマウントを行う~
→マウントの結果から、[[/etc/fstab>https://man.openbsd.org/fstab.5]]を生成する

-ネットワークデバイスの検出を行い、実際に使われそうなデバイスをユーザに候補として表示する~
WiFiデバイスの場合は、認証設定の項目も提示する

今回のシリアルコンソール対応も、これらの設定などと同様の方針で行われた。

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