河豚板の歩き方

LiveCDを作ってみるで製作したCD-ROMの起動/設定/使用方法などについて説明します。

起動メディア作成

CD-ROMから起動するLiveCD版とUSBメモリから起動するLiveUSB版では、 ダウンロードするファイル、メディアへの書き込み方法がそれぞれ異なりますので、 以下、それぞれの場合に分けて説明します。

以下の作成例は、CD-ROM, USBメモリのいずれの場合も すでに動作しているOpenBSD上でダウンロードと書き込みを行う場合の方法です。

CD-ROMを作成する場合

河豚板のISOイメージをダウンロードし、展開後CD-R, CD-RWなどに焼きます。

ftp http://livecd-mirror.ebug.jp/LiveCD/FuguIta-4.X-20YYMMDDN.iso.gz
gzip -d FuguIta-4.X-20YYMMDDN.iso.gz
cdio -f /dev/cd0c blank   ←CD-RWの時のみ必要(CD-Rでは不要)
cdio -f /dev/cd0c tao FuguIta-4.X-20YYMMDDN.iso

USBメモリへ書き込む場合

2通りの方法があります;

a: USBメモリ版用の配布イメージを使用する方法

  • 河豚板のUSBディスクイメージをダウンロードし、展開しながらUSBメモリに書き込みます。
    ftp http://livecd-mirror.ebug.jp/LiveCD/FuguIta-4.X-20YYMMDDN.usbimg.gz
    gzip -dc FuguIta-4.X-20YYMMDDN.iso.gz | dd if=/dev/rsd?c bs=16384k
  • この場合は、使用するUSBメモリのサイズに関係なく、650MBが河豚板のシステム用に、 約300MBがユーザのデータ保存用に固定的に割当られます*1

b: USBメモリ管理ツールusbfadmを使う*2

  • 前項の「CD-ROMを作成する場合」の方法によりCD-ROM版を作成し、そのCD-ROMから河豚板を起動します。
  • root権限でUSBメモリ管理ユティリティusbfadmを起動し、newsysコマンドを実行します。
    # /boottmp/usbfadm
    
    Welcome to usbfadm.
    USB flash drive maintenance tool for FuguIta
    
         Boot mode: manual
    
    Type ? for help.
    
    ? : ? --> newsys
    インストールを行うUSBメモリを装着していることを確認して、ENTERを押します。
    Please make sure the device inserted.
    Then press ENTER --> 
    インストールを行うUSBメモリのデバイス名を入力します(参考のため、システムログの内容が表示されます)。
    ==== FYI: sd[0-9] on syslog ================================
         1  sd0 at scsibus1 targ 1 lun 0: <TOSHIBA, TransMemory, PMAP>
         2  sd0: 961MB, 512 bytes/sec, 1968128 sec total
         3  sd1 at scsibus2 targ 1 lun 0: <Generic, USB CF Reader, 0.00>
         4  sd1: drive offline
         5  sd2 at scsibus2 targ 1 lun 1: <Generic, USB SD Reader, 0.00>
         6  sd2: drive offline
         7  sd3 at scsibus2 targ 1 lun 2: <Generic, Mini SD Reader, 0.00>
         8  sd3: drive offline
         9  sd4 at scsibus2 targ 1 lun 3: <Generic, USB MS Reader, 0.00>
        10  sd4: drive offline
        11  sd5 at scsibus2 targ 1 lun 4: <Generic, USB SM Reader, 0.00>
        12  sd5: 62MB, 512 bytes/sec, 128000 sec total
    ============================================================
    Enter name of device which FuguIta will be installed --> sd0
    ブート可能なUSBメモリを作成するため、yを入力します;
    Will you make this USB flash drive bootable? [y/n] -> y
    
    ========================================
    = Setting up partitions
    =
    Writing MBR at offset 0.
    ~以下略~
    この後、ファイルシステムの作成とシステムの転送が行われ、河豚板の起動するUSBメモリが作成されます。
  • この方法では、USBメモリのサイズに合うようにパーティションが作成され、USBメモリの全領域を河豚板に使用することができます。

ご注意:

起動と設定

まず、CD-ROM版、USBメモリ版ともに、まずBIOSの設定を確認し、 起動したいメディアが内蔵のハードディスクなどより優先して起動されることを確認します。

CD-ROMあるいは、USBメモリから起動すると、 カーネルメッセージ、FuguItaのバナーメッセージに引き続き、 河豚板をどのデバイスから読み込むかを指定するためのプロンプトが表示されます。

==============================================
=     ______                __   _
=    / ____/               |  |_| |__
=   / /____  ______  __  __|  /_   _/_____
=  / ___/ / / / __ \/ / / /|  | | | /  _  |
= / /  / /_/ / /_/ / /_/ / |  | | |_| (_) |__
=/_/   \____/\__  /\____/  |__| \___/____/__/
=            __/ /
=           /___/
=
= Welcome to FuguIta - OpenBSD LiveCD!
=         http://kaw.ath.cx/openbsd/?en/LiveCD
==============================================

disks: wd0 wd1 *cd0a fd0 fd1 rd0 *sd0a +sd0d
Disk to boot FuguIta? [cd0a] -> 

disks:の行では、このコンピュータに接続されているディスクデバイスの 一覧が表示されています。*cd0a, *sd0a のように先頭に *のついているものが、河豚板のシステムが格納されているデバイスです。
また、+sd0d のように先頭に +のついているものは、/boottmp/usbfadmユティリティによるユーザデータの保存/読み出しの対象となるデバイスです。

上の例では、*cd0a, *sd0a と2つ表示されているので、LiveCDとLiveUSBの両方が検出されていることがわかります。
今回はENTERのみを入力し、デフォルトの cd0a (CD-ROM)を使用して河豚板を運用してみます。

次に、mfsに割り当てるメモリサイズを指定します。

  user memory: 267927552 bytes
mfs available: 10MB to 255MB
[default: 127MB] -> 64
set mfs size to 64MB

mfsとは、memory file systemのことで、 メモリの一部をファイルシステムとして使用するものです。
システム起動後、ファイルを作成したりアプリケーションを 追加登録した場合、それらは、mfsに書き込まれます。

メモリのうち mfs に割当られない部分は、 メモリ本来の用途としてプログラムの実行に使用されます。

上の例では、システムに255メガバイトのメモリが取り付けられており、 そのうちの64メガバイトをmfsに割り当てるよう指定しています。

ここで、ENTERのみを入力すると実装メモリ量の約半分(上の例では127メガバイト)が デフォルト値として指定されます。

次に、どのようなモードでブートを行うかを指定します;

Select boot mode;
   0: fresh boot (normal)
   1: fresh boot (lower memory, faster boot than mode 0)
   2: fresh boot (everything on mfs)
   3: retrieve user data from USB flash memory
   4: retrieve user data from floppy disk
   5: interactive shell for debugging
-->0
0: fresh boot (normal)
河豚板の格納されたメディア(CD-ROMまたはUSBメモリ)のみを使用して動作します。LiveCD/LiveUSBシステムとしての最も基本的な起動方法です。
1: fresh boot (lower memory, faster boot than mode 0)
前項のモード0と同じく、河豚板の格納されたメディアのみを使用して動作します。モード0よりも少ないメモリ(最小で約36MB)で動作し、ブートに要する時間も短くなります。ただし、このモードでは /usr 以下にファイルを書き込めませんので、pkg_add ユティリティによるソフトウェアの追加などはできません。
2: fresh boot (everything on mfs)
河豚板システム全体をmfsにコピーし、それを使用して動作します。そのため起動に最も時間がかかり、メモリも約700MB以上必要ですが、起動完了後は、CD-ROMやUSBメモリへのアクセスを全く行わないため、最も高速に動作します。また、起動完了後はCD-ROMやUSBメモリを取り外してしまうこともできます。
3: retrieve user data from USB flash memory
システムの起動時に、以前の運用でUSBメモリに保存しておいたデータを復帰します。USBメモリへの保存は、/boottmp/usbfadmユティリティを使用します。
4: retrieve user data from floppy disk
システムを起動時に、以前の運用でフロッピーディスクに保存しておいたデータを復帰します。フロッピーディスクへの保存は、/boottmp/fdadmユティリティを使用します。
5: interactive shell for debugging
初期化処理を行わずに、すぐにシェルを起動します。シェルから抜けると、再度モード選択メニューに戻ります。河豚板の起動部分のデバッグなどに使用します。

この後は、モード0を指定した場合について説明します。

まず、キーボードの形式を指定します。 日本語キーボードの場合は jp または jp.swapctrlcaps です。 jp.swapctrlcaps を指定した場合は、 CONTROLキーとCAPS LOCKキーが入れ替わった設定(CONTROLキーが文字Aの左隣)となります。

Running manual setup.
Copying system files to /mfs ... done
Extracting symlinks from /mfs to /fuguita ... done

Keyboard type;
be      be.swapctrlcaps br      cf
cf.nodead       de      de.nodead       dk
dk.nodead       es      fr      fr.dvorak
fr.swapctrlcaps fr.swapctrlcaps.dvorak  hu      it
jp      jp.swapctrlcaps la      lt
lv      nl      nl.nodead       no
no.nodead       pl      pt      ru
sf      sf.nodead       sg      sg.nodead
si      sv      sv.nodead       tr
tr.nodead       ua      uk      us
us.declk        us.dvorak       us.iopener      us.swapctrlcaps
us.swapctrlcaps.dvorak  us.swapctrlcaps.iopener
-> jp
kbd: keyboard mapping set to jp

rootのパスワードを2回入力します(安全のため、パスワード入力は画面表示されません)。

Please wait ... 
Changing local password for root.
New password:
Retype new password:

コンピュータの名称(ホスト名)を設定します(ドメイン部は入力しません)。

your host name (without domain)? -> csfw1

次に、ネットワークの設定を行います。
ネットワークを設定せず、スタンドアロンで使用する場合はn、 IPv4のみを設定する場合は4、IPv6のみを設定する場合は6、 IPv4,IPv6の両方を使用する場合は46 (あるいは64) と入力します*3

Setting up IP network configurations? [n, 4, 6 or 46]-> 4
========================================
lo0: flags=8008<LOOPBACK,MULTICAST> mtu 33204
        groups: lo
ne3: flags=8822<BROADCAST,NOTRAILERS,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500
        lladdr 52:54:00:12:34:56
        media: Ethernet 10baseT full-duplex
enc0: flags=0<> mtu 1536
========================================

設定を行うネットワークインタフェースを指定します。

Available network interface(s): ne3
your network interface? [ne3] -> 

アドレスのドメイン部を指定します。

your FQDN? -> csfw1.localnet

DNSサーバのアドレスを指定します。 スペースで区切って、3つまで指定可能です。 DHCPによる自動割り当て機能を使用する場合は、ENTERのみを入力します。

 * up to three IPv4/IPv6 addresses, separated by spaces
 * just press ENTER for DHCP
 * "none" for not using DNS
-> 192.168.10.253

DHCPを使用しない場合は、このコンピュータのIPv4アドレス設定を訊かれるので、入力します。

IPv4 addr of this host -> 192.168.10.1
netmask                -> 255.255.255.0
default route          -> 192.168.10.254

SSHおよびipsecのための暗号鍵を生成するかどうかを指定します。 nを指定した場合は、すでに生成された鍵を使用します。

Generate cryptographic keys [Y/n] -> y

これ以降はハードディスク等に通常の方法でインストールされた OpenBSDと同様に動作します。

========================================
Automatic boot in progress: starting file system checks.
setting tty flags
~ 略 ~
starting local daemons:.
standard daemons: cron.
Sun Dec 14 12:34:43 JST 2008

OpenBSD/i386 (csfw1.localnet) (tty00)

login: root
Password: (先程設定したパスワードを入力)

rootでログインしたら、システムの設定を確認してみましょう。

終了処理

システムを終了させる場合は、以下の手順で処理を行います。

データの保存

河豚板運用中に作成されたファイルは、メモリ上のファイルシステム mfs に 存在していますので、そのままシステムを終了するとすべて消えてしまいます。

作成したファイルを保存し、次回の起動時に復帰させたい場合は、/boottmp/usbfadmユティリティプログラムを用いて、USBメモリに保存します。
また、同様に/boottmp/fdadmユティリティを用いると、フロッピーディスクへの待避を行うことができます。

システムの停止

HDDにインストールした通常のOpenBSDと同じようにshutdownコマンドなどで 停止できます。
データや設定の消えても構わない場合は、いきなり電源を切断しても問題ありません。


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*1 ユーザデータ保存用の領域を変更する場合は、disklabelユティリティでdパーティションを変更後newfsし、livecd-configディレクトリを作成して下さい
*2 FuguIta-4.6-201001161以降から対応
*3 IPv6は、ステートレス自動設定を行うエンドノードとして動作します。

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