EBUG 第32回会合
2009年11月21日、万代市民会館
川俣吉広、kaw@on.rim.or.jp

DeleGateとは

Getting Started

取得

http://www.delegate.org/delegate/download/から取得。使用条件は以下のとおり;

Copyright (c) 1994-2000 Yutaka Sato <ysato AT etl.go.jp> <y DOT sato AT delegate.org>
Copyright (c) 1994-2000 Electrotechnical Laboratory (ETL), AIST, MITI
Copyright (c) 2001-2008 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)
AIST-Product-ID: 2000-ETL-198715-01, H14PRO-049, H15PRO-165, H18PRO-443

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ビルド

OSごとのバイナリパッケージを利用するか、または、

$ tar xvzf delegateX.Y.Z.tar.gz
$ cd delegateX.Y.Z
$ CFLAGS='-O6' ADMIN='kaw@on.rim.or.jp' make
$ sudo install -o root -g wheel -m 0755 src/delegated /usr/local/sbin
       ↑注)stripしないこと! (理由は後述)

起動

delegatedは、設定ファイルを持たない。指定はすべてコマンドラインから*1

基本形

delegated -P[host:]port OWNER=user[/group] DGROOT=system-dir parameters [parameters...]

なので、通常はシェルラッパーを作成し、そこにパラメータを書いておいてそれを起動。たとえば、dodg.sh↓

#!/bin/sh
exec /usr/local/sbin/delegated ONWER=delegate/delegate DGROOT=/var/spool/delegate "$@"

とかやって

# dodg.sh -P8080 SERVER=http

など。この時、実行時のプロセスは

/usr/local/sbin/delegated ONWER=delegate/delegate DGROOT=/var/spool/delegate -P8080 SERVER=http

となる。シェルラッパー経由で起動することで、実行時に必ず指定したほうがよいパラメータを付け加えることができる。

停止

停止は-Fkill、再起動には-Fkill-hupを指定する。

# dodg.sh -P8080 -Fkill

この時、実際に停止 (or 再起動)するプロセスは、起動時に -P8080 を指定したプロセスとなる。

起動・停止をまとめて、こんな感じにしてもOK。 ... rc.delegate↓

#!/bin/sh
function dg {
    /usr/local/sbin/delegated \
        ONWER=delegate/delegate \
        DGROOT=/var/spool/delegate \
        "$@" ;
}

case X"$1" in
    Xstart)   dg "$@" ;;
    Xstop)    dg -Fkill "$@" ;;
    Xrestart) dg -Fkill-hup "$@" ;;
esac

ロギング・デバッグ

ログは、DGROOT/log/*に作成される。 ログファイルは、strftime(3)互換の書式準拠で指定可能。自前でログローテートできる。例;

dodg.sh -P... SERVER=... LOGDIR='log[date+/aged/%y/%m/%d]' 

デバックには、-v オプションを指定。フォアグラウンドでの実行となり、ログもstdoutに出力される。

使用例

基本

# delegated -Pport SERVER=proto

普通のHTTPプロキシとして起動した例。CACHE=yes or CACHE=do でキャッシュ機能が有効になる*2

# dodg.sh -P10080 SERVER=http CACHE=do

同様に、FTP専用のプロキシとして使用するには、

# dodg.sh -P10021 SERVER=ftp

これはHTTP経由のFTPアクセスではない純粋なFTPプロキシとして動作する。FTPクライアントでこのDeleGate FTPプロキシに接続後、

login: 目的のサーバでのアカウント名@目的のサーバ名
password: 目的のサーバのパスワード

で、目的とするFTPサーバに接続する。あるいは、

login: 目的のサーバのアカウント名
password: 目的のサーバのパスワード

で、DeleGate FTPプロキシにlogin後、

cd //desthost

で目的のサーバdesthostに接続できる。

応用

多段接続

DeleGateは、多段接続して使用可能。 その際、DeleGate間同士の通信に「DeleGateプロトコル」を使用すると、 中継可能なプロトコルをDeleGateプロトコルでwrap(というかtunnel)して 中継できる。
→複数のプロトコルを中継するのに、一本の伝送路だけを用意すればよい。

使用例;

ssh-delegate.png
  proxy-1 # dodg.sh -P10021 SERVER=ftp  MASTER=localfw-addr:20000
 local-fw # dodg.sh -Plocalfw-addr:10080 SERVER=http MASTER=127.0.0.1:20000
 local-fw # dodg.sh -Plocalfw-addr:20000,127.0.0.1:20000 \
                    SERVER=delegate MASTER=127.0.0.1:20001
 local-fw # ssh -L 20001:127.0.0.1:20002 remote-fw
remote-fw # dodg.sh -P127.0.0.1:20002 SERVER=delegate

個々のプロトコルをクライアントから受け付けるDeleGateプロセスをSpecialist、 Specialistからの通信をDeleGateプロトコルにより一括して受け付けるDeleGateプロセスをGeneralistと呼ぶ。

INETDパラメータ

複数のプロトコルを受け付けたい場合、個々にプロセスを起動してもいいが、INETDパラメータで 一個のプロセスで複数のポート(=プロトコル)を待ちうけできる。

# dodg.sh INETD="50080   - - - - - SERVER=http MASTER=127.0.0.1:50000 RES_AF=64" \
          INETD="_:40080 - - - - - SERVER=http" \
          INETD="2401    - - - - - SERVER=tcprelay://anoncvs.jp.openbsd.org:2401"

この例では、一個のDeleGateプロセスで、IPv4のポート50080*3とポート2401, IPv6のポート40080で 接続を待ちうけている。

URL Mount

中継するURLをDeleGate上で書き換えることにより、URLを変換する。

# dodg.sh -P80 SERVER=http \
      MOUNT="/c1/* http://www1.localnet/*" \
      MOUNT="/c2/* http://www2.localnet/*" 

上記の例では、プロキシ上でウェブサーバが動作しており、 そのサブディレクトリ/c1、/c2配下にそれぞれwww1, www2のコンテンツがあるように見える。

$ w3m http://proxyhost/c1/index.html
$ w3m http://proxyhost/c2/bbs.cgi

単一のサーバをプロキシ上で見せたいのであれば、MOUNTを使用せず、

# dodg.sh -P80 SERVER=http://www1.localnet/

でもよい。

プロトコルを変換しつつ、MOUNTすることも可。

# dodg.sh -P80 SERVER=http \
      MOUNT="/mail/* pop://mailhost/*" \
      MOUNT="/news/* nntp://newshost/*"

ウェブブラウザ経由で、メールやネットニュースにアクセスできる。

$ w3m http://proxyhost/mail/
$ w3m http://proxyhost/news/

Origin Server

プロキシではなく、サーバプロセスそのものとしても使用可。

dodg.sh -P80 SERVER=http MOUNT="/* /path/of/htdocs/*" RELAY=no RELIABLE="*"

自分自身にマウントするような記法を使用する。

TCPrelay / UDPrelay

単一のTCP接続やUDP送信をそのまま中継する機能。

経路制御

特定の条件に合致した(or合致しない)場合のみの経路を指定できる。
ROUTEパラメータによって、中継の転送先、接続元、最終的な接続先を指定。

# dodg.sh -P172.31.0.1:10080,2001_3e0_434_8__1:10080 \
      ROUTE='http://another-proxy:3128/-_-!*.localnet:*'

この例では、IPv4の172.31.0.1:10080とIPv6の[2001:3e0:434:8::1]:10080で待ち受け、*.localnet以外への接続要求は、 別のプロキシに転送

CFI (Common Filter Interface)

中継するデータを外部プログラムによって加工する仕組み。 データストリームの何処に挿入するかで、9種類の指定方法がある。

+-+             +-------+             +-+ MD: Master DeleGate
|C|---->FFROMCL-|F| D |F|-FTOMD------>|M|
|L|             |C| E |M|             |D|     +-+
|T|<------FTOCL-|L| L |D|-FFROMMD<----| |<--->|S|
+-+             | | E +-|             +-+     |V|
                | | G |F|-FTOSV-------------->| |
                | | A |S|                     | |
                | | T |V|-FFROMSV<------------| |
                | | E | |                     +-+
                +-------+

sslway

DeleGate組込みのSSL wrapper。

の話題

セキュリティ

IPv6対応は?

DeleGate 9.0.0以降で対応済み ... 詳細は配布パッケージ内の IPv6NOTE.txt に記述

まとめ


*1 「パラメータ置換」機能を使用して別ファイルに書いておくこともできる
*2 CACHE=yesではあらかじめキャッシュ用のディレクトリが作られていればキャッシュ機能が有効に、CACHE=doではキャッシュ用のディレクトリがない場合は自動的に作成されて有効になる
*3 このHTTPプロキシは、上流のDeleGateに接続を依頼し、かつIPv6の接続を優先するように設定されている
*4 Webの黎明期に日本語の表示できないブラウザのためにこの機能が使用された

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