オープンソースカンファレンス2010 Niigata
@新潟大学 工学部, 2010 10/23(Sat)
河豚板は、OpenBSDをベースに作成されたLiveCD/LiveUSBシステムです。†
OpenBSDとは?†
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OpenBSDは、BSD Unix 系統のオペレーティング・システム(OS)で、自由に入手・利用することができます。
同様なOSとしては、他にFreeBSD, NetBSDなどもあります。
OpenBSDは、高いセキュリティを念頭に置いて設計・実装が行われており、セキュリティ上の問題を発見するために、
常にソースコードの監査が行われています。
その結果、OpenBSDで使用されているソフトウェアにセキュリティホールが発見された場合においても、
迅速に対応がなされてきています。
また、さらなるセキュリティ向上や、よりクリアなライセンス条件を目指して新たにソフトウェアが開発される場合もあります。
それらには、OpenBSD以外のシステムでも広く使われているものもあり、
例えば安全な通信を行うためのツールOpenSSHや、
ネットワークを通過するデータを制御するための仕組みである PF (Packet Filter)などが、よく知られています。
OpenBSDの公式サイトは、http://www.openbsd.org/ja/ です。
このサイトでは、このOpenBSDについての概要、具体的な導入方法、よく質問される事柄とその答え、
あるいは、最新のリリース状況などといったあらゆる情報を得ることができます。
LiveCDとは?†
LiveCDとはハードディスクを使用せず、CD-ROMだけで動作するシステムです。
LiveCDを使うには、パソコンをCD-ROMから起動する設定にした後、LiveCDをセットして電源を入れます。
すると、パソコン内蔵のハードディスクを使うことなく、LiveCDシステムはCD-ROMから必要な全てのソフトを呼び出し動作します。
つまり、使用に先立ってのインストール作業は必要ありません。
最近ではBSDやLinuxなどのフリーなOSの多くがLiveCDを提供しており、
様々な目的や特徴を持ったものが数多く出回っています。
また、CD-ROMのかわりにUSBメモリから起動して使用できるものも作成・公開されており、
そのようなシステムは LiveUSBなどと呼ばれています。
河豚板の特徴†
河豚板(FuguIta)は、OpenBSDを元に作成されたLiveCD 及び LiveUSBシステムです。
河豚板の開発と保守は川俣吉広 (kaw@on.rim.or.jp) が行っており、
EBUG (Echigo BSD Users Group)が配布サポートを行っています。
OpenBSDは現在、日本国内ではそれほどメジャーなOSとは言えませんが、
河豚板を使うことで、OpenBSDを気軽に体験することができます。
河豚板には、以下のような特徴があります;
- *ハードディスクインストールに近い環境を実現
- 河豚板はできる限りハードディスクにインストールした通常のOpenBSD環境と同じになるように設定されています。
ログイン後の各種操作・設定などは、ハードディスクにインストールしたOpenBSDとほとんど同じです。
また、CD-ROMから呼び出されたファイルも、ユーザが自由に変更できるように工夫されています。
- *作業環境を持ち運び可能に
- このLiveCDでユーザが作成・編集したファイルは、
USBフラッシュメモリ又はフロッピーディスクに保存し、次回起動時に読み込ませることができます。
この機能を活用することで、作業環境を手軽に持ち運び、他所のPC上でも同じ環境で作業を継続するような
使いかたもできます。
- *追加ソフトの利用
- OpenBSDシステムに備わっている仕組みであるpkg_addコマンドやportsシステムを用いてソフトを追加できます。
前項で説明した方法でUSBメモリに保存すれば、追加したソフトは次回起動時以降も使い続けられます。
- *ロースペックマシンでも動作
- 実装メモリ量32メガバイト程度から起動します
(「モード1」で起動し、X Window Systemを使用しない状態にて)。
- *日本での使用にカスタマイズ
- カーネルのタイムゾーンを日本標準時に設定してあるほか、
各種日本語対応アプリケーションや日本語フォントなどが同梱され、
それらはすぐ使用できるように事前設定されています。
- *LiveCDとLiveUSBの2種類を提供
- 河豚板にはCD-ROM版の他に、USBメモリ版(通称: 河豚刺し)もあります。
USBメモリ版の河豚板はUSBメモリから起動することが異なるだけで、使用方法はLiveCD版と共通です。
また、LiveCD版とUSBメモリ版の河豚板を混在させて使用することもできます。
河豚板を使うには?†
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河豚板を使用するための手順は、大まかには以下のようになります;
- 配布サイトより圧縮イメージファイルをダウンロード
- ダウンロードしたファイルを展開
- 展開したイメージファイルをCD-ROMに書き込み
- 出来上がったCD-ROMを使用してコンピュータを起動
- 起動した河豚板上でUSB管理ツールを呼び出し、USBメモリへのインストールが可能。
LiveCDの歩き方 に進むと使用手順の詳細を読むことができます。
同梱ソフト一覧†
河豚板にはOpenBSD本体に加えて、各種ソフトが追加されております。
これらの追加ソフトを用いて、パーソナルユースに適した環境があらかじめ構築されており、
メールの送受信、ウェブブラウズやチャット、あるいは動画や音声の再生などを行うことができます。
河豚板にインストール済みのソフトは以下の通りです;
- オペレーティングシステム本体 ... OpenBSD 4.7
- OpenBSD 4.7 には、次のようなソフトウェアが最初から含まれています
... Xenocara (X.Org, freetype, fontconfig, Mesa, xterm etc),
最新のKAME IPv6,
Heimdal,
Arla,
改良されセキュリティ強化されたApache 1.3 (SSL/TLS, DSO対応),
OpenSSL,
sendmail,
BIND,
Lynx (HTTPS, IPv6対応),
GCC,
binutils,
gdb,
Perl,
groff,
sudo,
ncurses
- ネットワーク関連
fetchmail(メールの受信),
procmail(メール自動振り分けや転送など),
w3m(ウェブブラウザ),
rdesktop(Microsoft Windowsへのリモートデスクトップ接続),
rsync(ファイルの同期転送),
Mew(メール),
Riece(IRC (チャット)),
Emacs-w3m(Emacsエディタ上でのウェブ閲覧),
Transmission(BitTorrent P2Pクライアント),
DeleGate(多目的汎用プロキシサーバ),
curl(ダウンローダ)
- メディア関連
xv(画像ビューワ),
mplayer, mencoder(動画・音声ビューワ及びエンコーダ),
gnome-mplayer (mplayerのGUIフロントエンド),
cdparanoia(音声CDのリッピング),
lame(WAV -> MP3エンコーダ),
faad(AAC -> WAVデコーダ),
- 日本語処理関連
kterm(日本語ターミナル),
jfbterm(フレームバッファターミナル),
jless(日本語対応lessページャ),
nkf(漢字コード変換),
freefonts, ja-fonts-funet, ja-fonts-gnu, mplus-ttf(各種日本語フォント),
Navi2ch(2ちゃんねるブラウザ),
Migemo(日本語文字列の直接検索)
- その他
bash(シェル),
bzip2/zip/unzip(ファイル圧縮・展開),
screen(テキストスクリーンマネージャ),
rlwrap(行入力支援ツール),
ttyrec(ttyセッションレコーダ/プレーヤ),
Emacs 23(テキストエディタ),
Ruby(オブジェクト指向スクリプト言語),
Gauche(Scheme言語インタプリタ)
セミナー / 河豚板デモ†
オープンソースカンファレンス2010 Niigataでは、11:15~12:00, 104講義室にて「OpenBSD LiveCD 『河豚板』の開発」と題してセミナーを行います。興味のあるかたは是非お越し下さい。
また、EBUG (Echigo BSD Users Group)ブースでは、河豚板のデモを行っています。
ご質問などありましたら、ブースの説明員までお気軽にどうぞ。