河豚板を使う【一般編】 では河豚板の基本的な使用手順について説明しました。
この章では河豚板の特徴を活かした、さらに進んだ利用法について紹介します。
【メモ】
⇒この章では以下のように、河豚板を使う【一般編】 で設定した環境を引続き使用する前提で説明を行います;
- ホスト名としてfugu-demo.localnetを想定
- インターネットにアクセスできる状態になっている
- 一般ユーザyoshiが作成されている。yoshiはwheelグループにも属しているため、rootになることができる。
河豚板はOpenBSDで提供されているソフトウェアに、その他日常よく使うであろうと思われるアプリケーションやシステム管理などに便利やツール類を追加しています。
更に、システム起動後にもユーザがアプリケーションを追加することができます。
アプリケーションを追加するにはOpenBSDのports/packagesシステムを利用する方法が手軽です。
packagesのソフトウェアを追加するには、pkg_addというコマンドをrootで実行します。例として、ウェブブラウザであるMozilla Firefoxをインストールする例を以下に示します。
fugu-demo$ su - Password: fugu-demo# pkg_add firefox quirks-4.53 signed on 2021-12-19T13:27:04Z quirks-4.53:(ok) firefox-95.0.1:libiconv-1.16p0:(ok) firefox-95.0.1:gettext-runtime-0.21p1:(ok) : 略 : firefox-95.0.1:dconf-0.40.0:(ok) firefox-95.0.1:gtk+3-3.24.30:(ok) firefox-95.0.1:(ok) Running tags:ok The following new rcscripts were installed: /etc/rc.d/messagebus See rcctl(8) for details. New and changed readme(s): /usr/local/share/doc/pkg-readmes/dbus /usr/local/share/doc/pkg-readmes/firefox /usr/local/share/doc/pkg-readmes/glib2 /usr/local/share/doc/pkg-readmes/gtk+3 fugu-demo# exit fugu-demo$
上の例では、suコマンドを使用して一時的にrootになっています。勿論、yoshiをログアウトしてrootでログインしなおし、そこでpkg_addを実行しても構いません。
pkg_addを実行すると目的のアプリケーションを実行するために必要な他のソフトウェアも同時に追加されます。上のfirefoxの例では、libiconv, gettext-runtime, dconf, gtk+3などがそれです。
ディレクトリ/usr/local/share/doc/pkg-readmes以下にインストールしたソフトウェアに関するドキュメントがある旨、表示されてますので、目を通しておくとよいでしょう。
以上の例のような方法で、アプリケーションを追加することができます。
ports/packagesからどのようなソフトウェアがpkg_addできるかはウェブブラウザでftp://ftp.jaist.ac.jp/pub/OpenBSD/7.0/packages/amd64/などをご覧下さい。
【メモ】
⇒ports/packagesシステムについてはhttp://www.openbsd.org/faq/faq15.htmlに詳しい説明があります。また、上の例ではダウンロード元としてftp.jaist.ac.jpを使用しましたがダウンロードサイトは他にもあり、その一覧はhttp://www.openbsd.org/ftp.htmlで見ることができます。
⇒ports/packagesを利用せずソフトウェア開発元が公開しているソースコードを直接コンパイル・インストールする所謂「野良ビルド」も可能です。
河豚板ではpkg_addで追加したソフトウェアもまた、usbfadmコマンドによるデータ保存/復帰の対象となります。
前節の アプリケーションを追加する では、suコマンドを使用して一般ユーザから一時的にrootになってシステム管理作業を行う方法を紹介しましたが、他にdoasというコマンドも使用できます。
doasは設定ファイルで動作を制御できる点、rootのパスワードを知らなくてもroot権限でのコマンド実行ができる点などでsuコマンドより使い勝手がよくなっています。
doasを使うには、まず設定ファイル/etc/doas.confを編集する必要があります。
最初はdoas.confは存在していませんので以下のコマンドを実行し、ファイルを作成します(doas.confがすでに存在している場合は、テキストエディタでdoas.confを編集します)。
# echo permit :wheel > /etc/doas.conf # chmod 0640 /etc/doas.conf
この操作で、「permit :wheel」という内容1行だけが書かれたファイル doas.conf が作成されます。これは「wheelグループに所属しているユーザに対してroot権限でのコマンド実行を許可するように」という意味の設定です。この設定を用いて、一般ユーザでログイン中にusbfadmユティリティを用いて例えば次の例のように、設定やファイルを保存する ことが可能となります。
$ doas /usr/fuguita/sbin/usbfadm Password: Welcome to usbfadm. USB flash drive administration tool for FuguIta Version/Arch: 6.0/amd64 (FuguIta-6.0-amd64-201612291) Boot mode: usbflash Data stored in: /dev/sd0d Data Saved as: fugu-demo Type ? for help. /dev/sd0d : fugu-demo ->
先に説明したようにdoas.confの設定を行うと、doas実行時にパスワードを訊かれますが、これにはrootのパスワードではなく、doasを実行したユーザのパスワードを入力します。
パスワードを入力しないでdoasを実行することもできます。詳しくはdoas.conf(5)を参照して下さい。
【メモ】
⇒doasはUnix系のOSで一般的に使われているsudoと置き換えるためにOpenBSD開発陣が再実装したコマンドです。sudoはOpenBSD 5.8以降はOS本体には含まれていませんが、portsからインストールして使うことが可能です。
モード0で起動した直後の河豚板は、時間帯(time zone: タイムゾーン)がUTC (Universal Coordinated Time: 協定世界時)になっています。
協定世界時に比べ日本標準時(Japan Standard Time: JST)は9時間進んでいます。
$ date Wed Dec 23 02:27:58 UTC 2015
河豚板の時間帯をJSTにするには以下のようにコマンドを投入し、シンボリックリンク/etc/localtimeの指し示すファイルを変更します。
$ cd /etc $ ls -l localtime lrwxr-xr-x 1 root wheel 23 Dec 23 02:27 localtime -> /usr/share/zoneinfo/UTC $ doas ln -s -f /usr/share/zoneinfo/Asia/Tokyo localtime Password: $ ls -l localtime lrwxr-xr-x 1 root wheel 25 Dec 23 11:28 localtime -> /usr/share/zoneinfo/Asia/Tokyo $ date Wed Dec 23 11:28:53 JST 2015 $
【メモ】
⇒設定後のJSTが実時刻とずれている場合はdate(1)を使い、root権限で修正します。
NTP (Network Time Protocol)はコンピュータがネットワーク上で通信を行いながら、それぞれの時刻を同期させるためのプロトコル(通信規約)です。
OpenBSDはNTPを用いてインターネット上の時刻基準に自身の時刻を同期させる機能をもっており、この機能は河豚板でも使用することができます。
OpenBSDはインストール時にNTPを使用するかどうかの設定を行います。一方、河豚板ではこの機能はデフォルトで有効になっています。
NTPの機能はntpd(8)というプログラムによって実装されており、ntpdの動作状況を見るにはntpctl(1)というコマンドを実行します。
【メモ】
⇒OpenBSDで使われているNTPのソフトウェアは「OpenNTPD」と呼ばれ、OpenBSDの開発陣によって作成されたものです。
LinuxやFreeBSDでは同じntpdでも、別の実装を用いています。$ ntpctl -s status 4/4 peers valid, constraint offset 0s, clock synced, stratum 3上記の例のように「clock synced」と表示されていれば、ntpdは時刻の基準となる外部のNTPサーバと通信し、その結果時刻の同期が取れていることがわかります。一方、
$ ntpctl -s status 0/1 peers valid, clock unsyncedのように「clock unsynced」となっている場合は、何らかの原因で時刻が同期できていません。
OpenBSDではインストール時にNTP機能を有効にすると、時刻基準としてpool.ntp.orgというサーバ群を参照するようになり、河豚板の設定もそれに倣っています。
企業の社内LANなどではセキュリティの関係から、pool.ntp.orgなど外部のNTPサーバとの通信ができないようになっている場合があります。そのような場合、社内LAN上にNTPサーバが運用されていれば、そのサーバを参照することで自ホストの時刻を正確に保つことができます。
以下にNTPサーバの設定方法を示します;
ntpdはntpd.conf(5)というファイルにより動作が設定されますので、root権限でntpd.confを編集します。
$ doas -s Password: # vi /etc/ntpd.conf
ntpd.conf内のこの3行を ↓ servers pool.ntp.org sensor * constraints from "https://www.google.com" ↓ 以下の一行に変更 ↓ server ntp.localnet
上の例では、「ntp.localnet」というNTPサーバを参照するように設定を変更しています。
設定ファイルの編集が終了したらntpdを再起動し、変更内容を反映させます。
バックグラウンドで走行しサービスを提供するntpdのようなプログラムをUnixではデーモン(daemon)と呼びますが、OpenBSDではデーモンの操作にrcctl(8)というコマンドを使用することができます。
# rcctl restart ntpd ntpd(ok) ntpd(ok) #
以上で設定変更作業は完了したので、rootから一般ユーザに戻ります。あとはntpdの挙動をntpctlで監視します。
# exit $ ntpctl -s status 1/1 peers valid, clock unsynced
上記のようになっていれば(まだ)同期はとれていませんが、1つのピア(peer, 参照しているNTPサーバ)が有効となっていることがわかります。
$ ntpctl -s status 1/1 peers valid, clock synced, stratum 3
しばらく時間が経過すると、時刻同期が取れていることが確認できました。
ntpctlは更に詳しくntpdの状態を表示することもできます。またntpd自身が動作記録を/var/log/daemonや/var/log/messagesなどのログファイルに残しますので、それらを調べることでより詳細なntpdの動作把握ができます。
詳しくは各コマンドや設定ファイルのマニュアルページを参照して下さい。
【メモ】
⇒ntpdは時刻のずれを非常にゆっくりと修正していきます。これはいきなり時刻を大きく変更するとシステムの運行に悪影響を及ぼす可能性があるからです。そのため、時刻のずれが大きい場合は同期が取れるまでに長い時間がかかる場合もあります。
前節ではNTPサーバの設定変更方法について説明しました。
この節ではOpenBSDで動作しているサービスの設定について説明致します。
全ての設定方法について具体的な説明を行うことは現実的ではないので、設定をカテゴリ毎に分け、それらカテゴリのそれぞれについて説明します。
OpenBSDカーネルの機能は色々な方法で制御できますがその一つとして、sysctl(8)コマンドを使う方法があります。
$ sysctl -a | less kern.ostype=OpenBSD kern.osrelease=5.8 kern.osrevision=201510 kern.version=OpenBSD 5.8-stable (RDROOT.MP) #2: Wed Nov 11 13:18:48 JST 2015 root@nimbus5.localnet:/opt/fi/5.8/sys/arch/i386/compile/RDROOT.MP kern.maxvnodes=44152 kern.maxproc=1310 ~以下略~
上の例では全てのカーネルパラメータを表示しています。
表示内容が一画面に収まらないため、表示データをページャプログラムlessにパイプで渡して表示しています。
表示したいパラメータがあらかじめわかっている場合は、その名前を指定して表示できます。
以下の例ではファイルの入出力のバッファリングに割り当てるメモリの最大量を表示しています。
$ sysctl kern.bufcachepercent kern.bufcachepercent=20 $
この表示から、最大でメモリ搭載量の20%までをバッファに割り当てる設定になっていることがわかります。
この値を変更するには以下のようにします。設定の変更はroot権限が必要なので、doasコマンドを経由してsysctlコマンドを実行しています。
$ doas sysctl kern.bufcachepercent=50 Password: kern.bufcachepercent: 20 -> 50 $
sysctlコマンドの手動実行ではなく、システム起動時に自動的に設定を行うこともできます。 それには、設定したい内容をsysctl.conf(5)というファイルに記述します。
【メモ】
⇒カーネルの設定を変更するにはその他にも
- configコマンドによるカーネルの書き換え
- UKC (User Kernel Config)による起動時での変更
- カーネルの再コンパイル
などの方法がありますが、それぞれ設定できる内容や作業の難易度が異なります。詳しくは各マニュアルページや公式サイトのFAQなどをご参照下さい。
これまでも説明したようにネットワーク関連の設定は河豚板の起動時に行われるので、これで問題なく通信が行われれば特に設定を変更する必要はありません。
河豚板をサーバやネットワークのゲートウェイなどとして運用する場合は、設定を変更したり追加したりする必要が出て来るかもしれません。
【メモ】
⇒使用しているPCにどのようなネットワークインターフェースがあるかはコマンドの実行「ifconfig -a」で表示されます。
OpenBSDではデフォルトでは動作しないものも含めて、様々なデーモンがインストールされています。 時刻を参照するNTPサーバを変更する ではNTPデーモンを例として、デーモンの起動・停止・設定変更について説明しました。その他のデーモンについても概ね同様な手順を取ります。
OpenBSDでは、このようなデーモンの起動はrc.conf.local(8)が制御を行っており、このファイルにデーモンの起動・停止の指定や起動時にデーモンに与えるオプションなどの指定を行います。
【メモ】
⇒実際にはrc.conf(8)で全てのデーモンについての指定がされており、rc.conf.localはrc.confの設定を上書きするように動作します。
各種デーモンの挙動を制御するには rc.conf.local の内容を変更するので、テキスト・エディタで編集を行うわけですが、その他にrcctl(8)というコマンドを使用してデーモンの起動・停止の制御や設定変更を行うことができます。
ntpdがntpd.confによって設定されるように、他のデーモンもそれぞれ固有の設定ファイルを持ちますが、その多くは /etc 直下に置かれます。 また、/etc/examples に各種デーモンの設定用サンプルファイルが置かれていますので、このファイルを参照、あるいはコピー・編集して実際の設定ファイルとすることができます。
/etc/rc.localはシステム起動の最終段階で実行されるシェルスクリプトです。今まで説明した以外の処理を行いたい場合は、この/etc/rc.localに処理を記述します。
OpenBSDの起動時や終了時の処理についてはrc(8)を参照して下さい。
河豚板の起動時にモード1を指定すると、それ以降の起動時間が短縮されます。
これ以降に入力する各種設定項目については、モード0と同じです。
Select boot mode; 0: fresh boot (normal) 1: fresh boot (lower memory, faster boot than mode 0) 2: fresh boot (works only on mfs) 3: retrieve user data from USB flash memory 4: retrieve user data from floppy disk 5: interactive shell for debugging ->1
起動後のメモリ使用量(mfsのサイズ)もモード0に比べ少なくなります。
目安としては実装メモリ64MB程度のマシンからが動作可能となります;
ファイル使用量(モード0) $ df -h Filesystem Size Used Avail Capacity Mounted on /dev/rd0a 1.6M 729K 833K 47% / /dev/cd0a 697M 697M 0B 100% /sysmedia /dev/vnd5a 676M 664M 11.9M 98% /fuguita mfs 698M 25.5M 673M 4% /ram
ファイル使用量(モード1) $ df -h Filesystem Size Used Avail Capacity Mounted on /dev/rd0a 1.6M 730K 832K 47% / /dev/cd0a 697M 697M 0B 100% /sysmedia /dev/vnd5a 676M 664M 11.9M 98% /fuguita mfs 713M 6.8M 706M 1% /ram
ただし、起動モード1は標準の起動モードであるモード0に比べ必要なリソースが少ないというメリットがありますが、/usr以下のファイルやディレクトリを変更することができなくなるというデメリットがあります。つまり、pkg_addなどによるアプリケーションの追加などもできません。
起動モード1は河豚板に収録されているソフトウェアのみで運用が可能な場合に使用できます。
モード1で起動しusbfadmでファイル保存後、モード3で再起動した場合も上記の状況は引き継がれます。
【メモ】
⇒起動モード0と起動モード1のファイルシステムのレイアウトについて
起動モード0と起動モード1とでは、ファイルシステムの構造にどのような違いがあるのでしょうか。以下にその違いを説明します。右の図は、起動モード0のときのファイル配置です(図をクリックすると拡大します)。 例として、/bin/ed, /usr/bin/vi, pkg_added /usr/local/bin/emacs の経路を示しています。
ルートファイルシステムはRAM DISK, rd(4)です。このデバイスはカーネル組み込みでシステム起動時からすでにマウントされています。ルートの下には、「boottmp」という見慣れないディレクトリがあります。ここには、システム起動時の一番最初に必要なコマンドや、FuguItaに特化したユーティリティが入っています。
FuguItaデバイスの実体は、DVDやUSBメモリで、ブートローダー、OSカーネル、ファイルシステムのイメージが格納されています。これは/sysmediaに読み出し専用でマウントされます。
/sysmediaのファイルシステムイメージは/dev/vnd4にマッピングされ、/fuguitaにマウントされます。これがOpenBSDのファイルツリーになります。これはライブシステムに合わせるための若干の変更箇所を除いては、ほぼオリジナルのOpenBSDそのままです。また、このファイルシステムも読み出し専用です。ですから、この下ではファイルの作成、変更、削除はできません。
/ramはmfs(4) (memory file system)と呼ばれるメモリファイルシステムで、読み込みも書き込みも可能です。/etc/*.confや、/home以下のユーザのデータ、pkg_addedで追加したソフトなど、変更が必要なファイルはこの上に置かれます。また、滅多に変更されないファイルは、/fuguitaにある同等のファイルへのシンボリックリンクで置き換えられます。これにより、mfsのメモリ使用量が削減されます。次に起動モード1です。起動モード1では、/usrは/fuguita/usrにシンボリックリンクされています。これにより/usrを/ramにコピーやリンクをしないことで、モード0よりも起動が速くなり、使用するメモリも少なくなります。ただし、/usr/local は書き込み可能ではないので、pkg_add はできません。
起動モード2はファイルを全てmfs上に転送し、全てがオンメモリで動作するモードです。
Select boot mode; 0: fresh boot (normal) 1: fresh boot (lower memory, faster boot than mode 0) 2: fresh boot (works only on mfs) 3: retrieve user data from USB flash memory 4: retrieve user data from floppy disk 5: interactive shell for debugging ->2
モード2ではシステムの起動が完了すると、DVDやUSBメモリはアンマウントされますので、それらのデバイスを取り外して運用することができます。プログラムの実行やファイルの読み書きも全てメモリ上で行われますので、モード0やモード1に比べて高速に動作することが期待できます。
$ df -h Filesystem Size Used Avail Capacity Mounted on /dev/rd0a 1.6M 730K 832K 47% / mfs 813M 736M 76.7M 91% /ram
ただし、冒頭で説明したように、このモード2ではDVDやUSBメモリ上にあるシステムファイルが全てmfsにコピーされますので、PCの実装メモリ量は、目安として概ね800MB以上は必要です。
モード2においてもusbfadmでファイル保存後、モード3で再起動した場合にはファイル保存時の状態が復帰します。
【メモ】
⇒以下の場合には、デバイスを取り外すことはできませんのでご注意下さい。
- 仮想メモリの使用量が実メモりより大きく、スワップパーティションを無効にできない場合 (警告メッセージが表示されます)
- 暗号化パーティションを使用している場合 (警告メッセージが表示されます)
- そのデバイス内のパーティションを追加でマウントしている場合
【メモ】
⇒起動モード2のファイルシステムのレイアウトについて
起動モード2のファイルレイアウトは右図のとおりです。これはモード0や1に比べて非常にシンプルなもので、/と/ramのみがマウントされ、外部デバイスはすべてアンマウントされます。もちろん、すべてのファイルを変更することができます。
河豚板のLiveUSBを作る で説明したように、ダウンロードサイトからイメージファイルをダウンロードし、展開、書込みを行うことでLiveUSB版河豚板を作成することができます。
しかし、このLiveUSB版河豚板はUSBメモリのサイズに関係なく2GBしか領域を使用できません。
この内、河豚板のシステムが約1GBを占有していますので、usbfadmでデータを保存できるのは1ギガバイト程度です。
河豚板に付属のusbfadmユティリティには、指定したパーティションのサイズを拡張できるexpandと呼ばれる機能があります。
以下にexpandの使用例を示します。
fugu-demo# usbfadm ← root権限でusbfadmユティリティを起動する Welcome to usbfadm. USB flash drive administration tool for FuguIta Version/Arch: 7.0/i386 (FuguIta-7.0-i386-202112291) Boot mode: manual Target device: not set Data saved as: not set readline capability available TAB to complete the reserved words Type ? for help. ? : ? ->target ← targetコマンドで拡張するパーティションを指定 Searching storage device Please make sure the device inserted. Then press ENTER -> sd0i sd0j sd0k sd1a +sd1d vnd5a ← 検出されたパーテションの一覧。先頭に +記号が target device ->sd1d 付いているのがデータ保存用パーティション sd1d : ? ->info ← 指定したパーティションの容量を見てみる Filesystem Size Used Avail Capacity iused ifree %iused Mounted on /dev/sd1d 1.1G 2.5K 1.1G 0% 5 1287065 0% /mnt ← 容量は1.1GB scanning... 512B 7.0/i386/noasks sd1d : ? ->expand ← expand機能を呼出し Select the expansion method for sd1d: 1: growfs - expands the partition while retaining its contents 2: newfs - expand and format the partition 3: [exit without expansion] ->2 ← "newfs"を使ってパーティションを拡張
パーティションの拡張方法には、「growfs」と「newfs」とがあります。
growfsではパーティション内に保存されているデータを保持したまま領域を拡張します。
newfsでは、領域を拡張した後、パーティションをフォーマットし直します。
newfsでは、保存されているファイル・ディレクトリは全て消えてしまいますので、ご注意下さい。一方、growfsにおいても、実行前にデータのバックアップを取っておくことをお勧めします。
This makes sd1d as large as possible. Note that all contents in sd1d will be removed Do you proceed? [y/N] -> y /dev/rsd1d: 3136.5MB in 6423488 sectors of 512 bytes 257 cylinder groups of 12.24MB, 3134 blocks, 6272 inodes each super-block backups (for fsck -b #) at: 144, 25216, 50288, 75360, 100432, 125504, 150576, 175648, 200720, 225792, : 6368432, 6393504, 6418576, ** /dev/rsd1d ** File system is already clean ** Last Mounted on ** Phase 1 - Check Blocks and Sizes ** Phase 2 - Check Pathnames ** Phase 3 - Check Connectivity ** Phase 4 - Check Reference Counts ** Phase 5 - Check Cyl groups 1 files, 1 used, 5611214 free (14 frags, 701400 blocks, 0.0% fragmentation) sd1d : ? ->info ← 拡張後の容量を確認 Filesystem Size Used Avail Capacity iused ifree %iused Mounted on /dev/sd1d 2.7G 2.5K 2.7G 0% 5 1611897 0% /mnt ← 2.7GBに増加している scanning... 512B 7.0/i386/noasks sd1d : ? ->quit Bye bye... fugu-demo#
【メモ】
⇒ファイルシステムのパラメータ(フォーマット形式、ブロックサイズ、フラグメントサイズ、iノード密度など)は、growfsでは拡張前のものがそのまま使われるのに対し、newfsでは拡張後のサイズに合ったパラメータが設定され、フォーマットが実行されます。
この節ではすでに稼動中の河豚板を使い、新たに別のUSBメモリで河豚板LiveUSBを作成する方法を説明します。
この方法を用いるとデータの保存領域を任意のサイズで割り当てることができます(以下の例では、8GB(実際には7788MB)のサイズのUSBメモリにインストールする場合を想定しています)。
まず、河豚板をモード0、またはモード1で起動します。起動する河豚板はLiveDVD版、LiveUSB版のどちらでも使用できます。
起動が完了したら、root権限でusbfadmコマンドを実行します。
fugu-demo$ doas usbfadm doas (yoshi@fugu-demo.localnet) password: Welcome to usbfadm. USB flash drive administration tool for FuguIta Version/Arch: 7.1/amd64 (FuguIta-7.1-amd64-202208121) Boot mode: manual Target device: not set Data saved as: not set Sorry, readline capability unavailable Type ? for help. ? : ? ->newdrive ← LiveUSB作成を指示 Please make sure the device inserted. Then press ENTER -> ← USBメモリの装着を確認したら <Enter> 認識したディスクデバイスの一覧が時系列で表示される ↓ ==== disk(s) and vnode devices ============================ sd0 at scsibus1 targ 0 lun 0: <ATA, Hitachi HTS6457, JF40> sd0: 2048MB, 512 bytes/sector, 4194304 sectors sd1 at scsibus2 targ 0 lun 0: <UFD 3.0, Silicon-Power32G, 1.00 > sd1: 65536MB, 512 bytes/sector, 134217728 sectors sd2 at scsibus3 targ 0 lun 0: <BUFFALO, USB Flash Disk, 4000> sd2: 7788MB, 512 bytes/sector, 15949824 sectors vnd0: not in use vnd1: not in use vnd2: not in use vnd3: not in use vnd4: not in use vnd5: covering /sysmedia/fuguita-7.1-amd64.ffsimg on sd0a, inode 9 ============================================================ Enter the name of device which FuguIta will be installed->sd2 ← LiveUSBを作成する デバイスを指定 Disk: sd2 geometry: 992/255/63 [15949824 Sectors] Offset: 0 Signature: 0x0 Starting Ending LBA Info: #: id C H S - C H S [ start: size ] ------------------------------------------------------------------------------- 0: 00 0 0 0 - 0 0 0 [ 0: 0 ] unused 1: 00 0 0 0 - 0 0 0 [ 0: 0 ] unused 2: 00 0 0 0 - 0 0 0 [ 0: 0 ] unused 3: 00 0 0 0 - 0 0 0 [ 0: 0 ] unused Select boot method: 1: Legacy BIOS 2: [UEFI] 3: none (only for save data) 4: Hybrid -> ← 起動方法を指定。このようにEnterのみ入力すると [ ] で囲まれた デフォルト項目(この場合はUEFI)を指定したことになる。 Select partition type: 1: [MBR] 2: GPT -> ← パーティション形式の指定 Enter sizes for swap, user data and extra FAT. You can add suffix K, M, G or T (otherwise considered 'bytes'). '*' implies 'all' '0' doesn't make this partition. 6GB (6754MB) (13833152sectors) free swap->0 ← スワップパーティションのサイズ指定。 0の場合はスワップパーティションを作成しない。 6GB (6754MB) (13833152sectors) free user data [*] -> 3g ← データ保存用パーティションのサイズ。 「3g」で3ギガバイトを割り当て 「*」と入力すると、残り全てを割り当てる。 user data encryption? [y/N] -> ← データ保存用パーティションを 暗号化するか(別節を参照)。 Create an extra FAT partition? [y/n] -> y ← 残りの領域をFATに するかどうか target disk: sd2 partition type=MBR boot type=UEFI -------------------- : ------ partition : size -------------------- : ------ whole disk : 7GB partition tables : 32KB UEFI system : 512KB FuguIta system : 1GB FuguIta swap : 0B FuguIta user data : 3GB MSDOS FAT : 3GB -------------------- : ------ ***THIS IS THE LAST CHANCE*** If you type 'Y' now, all the data on sd2 will be lost. Are you sure to modify disk sd2? [y/N] -> y ← 指定したUSBメモリに書き込むかどうかの 最終確認 ======================================== = Clearing MBR, GPT and BSD disklabel = 1+0 records in 1+0 records out 1048576 bytes transferred in 0.005 secs (188870677 bytes/sec) ======================================== = Setting up fdisk partitions = ~~省略~~ ** /dev/rsd2d ** File system is already clean ** Last Mounted on /mnt ** Phase 1 - Check Blocks and Sizes ** Phase 2 - Check Pathnames ** Phase 3 - Check Connectivity ** Phase 4 - Check Reference Counts ** Phase 5 - Check Cyl groups 5 files, 5 used, 1520722 free (18 frags, 190088 blocks, 0.0% fragmentation) ? : ? ->quit Bye bye... fugu-demo$
以上で、指定したデバイスに河豚板のシステムが書き込まれ、使用可能となります。
【ご注意】
!!書き込み先のデバイス名は十分にご確認下さい。誤ったデバイスに書き込むと、そこに保存されているデータが失われます。
#ref(): File not found: "fuguita-usb.png" at page "河豚板ガイド/3-運用編"
今まで説明した内容を図にすると、右のようになります。
「Select boot method:」に対し「Legacy BIOS」あるいは「UEFI」を選択した場合は a パーティションが作成され、そこに河豚板のシステムが書き込まれます。「none」を入力した場合は a パーティションは作成されません。この場合はデータ保存専用のUSBメモリとなります。
「Enter size for saving User Data」で入力したサイズの d パーティションが作成され、usbfadm のデータ保存先となります。
aパーティションとdパーティションの領域を確保したあとでまだ未使用領域があれば、「Create an extra FAT partition? [y/n] ->」と訊かれます。これに対しyと答えるとiまたはjパーティションが確保されます。このパーティションはFATファイルシステムとしてフォーマットされ、Windowsなど他のOSからもアクセスできます。OpenBSDもFATをマウントできますから、河豚板と他OSとのデータのやりとりに使用することもできます。
【メモ】
⇒この節で説明した河豚板のインストール方法は、USBメモリだけではなくOpenBSDが認識できる記録デバイス全般に対して使用可能です。例えばSDカード、コンパクトフラッシュ、メモリスティックあるいはATAやSATAのハードディスクなどにも書き込むことが可能です。
【メモ】
⇒現在のPCは、起動方法として「BIOS」と「UEFI」の2種類があります。いままで説明してきたUSBメモリの作成方法は、BIOSでの起動に対応したものです。 UEFI起動に対応したUSBメモリを作成するには、以下のように起動方法として「UEFI」を指定します。Select boot method: 1: Legacy BIOS 2: [UEFI] 3: none (only for save data) 4: Hybrid ->2さらにパーティション形式として「MBR」を指定すると、Legacy BIOSのブートローダも書き込まれ、BIOS、UEFIのどちらでも起動が可能となります。
Select partition type: 1: GPT 2: [MBR] ->なお、起動方法「Hybrid」を指定しても、BIOS、UEFIのどちらでも起動できるUSBメモリを作成することができます。
だたし、「Hybrid」は規格に準拠していない作成方法です。加えて、作成後にfdiskコマンドでパーティションを変更すると不具合が発生しますのでご注意下さい(Hybrid形式は、過去のリリースとの互換性のために残されています)。#ref(): File not found: "fuguita-usb-uefi.png" at page "河豚板ガイド/3-運用編"
UEFI起動に対応した河豚板LiveUSBのパーティション構成は左図のようになります。
河豚板ではどのモードで起動するかに関わらず、起動中に手動で入力しなければならない箇所があります。
上記の5項目については入力を自動化する機能があります。
それには、LiveUSB版河豚板のdパーティションにあるnoasksというファイルに設定値を書き込みます。
$ doas -s doas (yoshi@fugu-demo.localnet) password: # mount /dev/sd0d /mnt # cd /mnt # ls -l total 4 drwxr-xr-x 5 root wheel 512 Oct 23 19:29 livecd-config # cd livecd-config/7.0/amd64 # ls -l drwxr-xr-x 11 root wheel 512 Nov 10 17:08 fugu-demo -rw-r--r-- 1 root wheel 422 Nov 9 22:19 noasks
【メモ】
⇒ディレクトリlivecd-configは、usbfadmによるデータ保存用のディレクトリです。
noasksには、設定値の雛形がコメントの形で書かれていますので、テキストエディタで設定行のコメントを外し、設定したい値を書き込みます。
# vi noasks
# # noasks - parameter settings for non-interactive boot # # Make statements uncommented # Then assign real values # # # FuguIta system device # - Use one of two lines 河豚板のシステムデバイス #noask_rdev=sd2a # device name format 通常のデバイス名、あるいは #noask_rdev=f24c0ae78bb7e0e4.a # DUID format DUIDフォーマットのどちらかを指定して # コメントをはずします。 # mfs size in MB #noask_umem=75% 実装メモリからMFSに割り当てる量を指定します。(数字のみはメガバイト # 単位、%は実装メモリ、%%は実装メモリ+スワップに対する割合です) # # boot mode #noask_setup_rw_mode=3 自動で起動するモード # # storage device # - Use one of two lines ファイルを保存するデバイス #noask_confdev=sd2d # device name format 通常のデバイス名、あるいは #noask_confdev=f24c0ae78bb7e0e4.d # DUID format DUIDフォーマットのどちらかを指定して # コメントをはずします。 # data set name in USB flash drive #noask_confdir=fugu-demo
【メモ】
⇒設定値の代入文で、「=」の前後にはスペースを入れないようにして下さい(noasksファイルはシェルスクリプトとして解釈されます)。
編集が終了したらdパーティションをアンマウントしてシステムを再起動します。
# cd # umount /mnt # /sbin/shutdown -r now
noasksファイルによる値の設定がされている場合、次のようなメッセージが表示されます;
============================================ = ______ __ _ = / ____/ | |_| |__ = / /____ ______ __ _| /_ _/_____ = / ___/ / / / __ \/ / / | | | | / _ | = / / / /_/ / /_/ / /_/ /| | | |_| (_) |__ =/_/ \____/\__ /\____/ |__| \___/____/__/ = __/ / = /___/ = = Welcome to FuguIta! - OpenBSD Live System = http://fuguita.org/?FuguIta ============================================= scanning partitions: wd0i wd0j sd0a sd0d FuguIta's operating device(s): sd0a. Press ^C to cancel non-interactive boot
この「Press ^C to cancel non-interactive boot」が表示されてから5秒待つと自動起動が実施されます。
5秒以内に<Control>-Cを入力するとnoasksファイルによる自動起動は中止され、通常の動作に戻ります。
【メモ】
⇒noasksファイルの中に未設定の項目がある場合は、自動起動中にその項目設定の箇所でユーザからの入力を待ちます。
【メモ】
⇒設定項目のうち、noask_rdevとnoask_confdevについてはsd0aといったような通常のデバイス名の他、DUID (Disklabel Unique IDentifiers) による指定も可能です。DUIDはディスクデバイスに自動的に付けられるランダムで固有な16進文字列です。
DUIDは、disklabelコマンドの出力から確認できます。# disklabel sd0 # /dev/rsd0c: type: ESDI disk: ESDI/IDE disk label: QEMU HARDDISK duid: eac6323f6d34c465 ←DUID flags: ~略~例えば、河豚板の起動デバイスをnoasksファイル中で指定する場合、
noask_confdev=sd0dと書く替わりに、
noask_confdev=eac6323f6d34c465.dというように「DUID.パーティション」というように指定することもできます。
通常のデバイス名による指定は、ディスクデバイスの接続状況が変わるとsd0がsd1などに変わり、自動起動に失敗するおそれがありますが、DUIDによる指定ではデバイスの接続状況に関係なく常に同じディスクを指定することができます。
前節の 起動時の設定入力を省略できるようにする では河豚板起動時の自動化について説明しましたが、終了時に自動でデータを保存することもできます。
OpenBSDではシステム終了時に /etc/rc.shutdown というスクリプトを実行するようになっています。
河豚板では、/etc/rc.shutdown内にデータ保存の処理が記述されています。
force_umount=No # set Yes for forced umount /ram at shutdown force_resync=No # set Yes to re-sync at shutdown ~ 略 ~
ファイル2行目のforce_resyncの設定値を「No」から「Yes」に変更することで、終了時にデータ保存が行われるようになります。
【メモ】
⇒この処理では保存処理が繰返し失敗した場合、シェルが立ち上がります。このシェルを用いて失敗の原因を取り除き、手動でusbfadm -rを実行して下さい。
シェルから抜けると保存処理が再実行されます。【ご注意】
!!運用中に重要な処理を行った場合は、シャットダウン前に別途、手動でデータを保存しておくことをお勧めします。
基本編の設定やファイルを保存するで説明したとおり、河豚板のUSBメモリにはデータの保存用パーティションがあります。
保存領域を暗号化する機能を使うと、USBメモリに保存した情報を盗難や紛失などのアクシデントから保護することができます。
usbfadmコマンドでLiveUSBを作成する時には、usbfadmコマンドのnewdrive機能を使用しますが、 以下のように指定を行うと、暗号化パーティションを作成することができます。
# usbfadm Welcome to usbfadm. USB flash drive administration tool for FuguIta Version/Arch: 6.7/amd64 (FuguIta-6.7-amd64-202006142) Boot mode: manual Data stored in: not set Data Saved as: not set Type ? for help. ? : ? ->newdrive ~~ 略 ~~ Enter sizes for swap, user data and extra FAT. You can add suffix K, M, G or T (otherwise considered 'bytes'). '*' implies 'all' '0' doesn't make this partition. 589MB (604128KB) (1208256sectors) free swap->64m 525MB (538592KB) (1077184sectors) free userrdata->* user data encryption? [y/N] -> y ← 「y」を入力しデータ保存領域の暗号化を指定 Enter passphrase twice. They'll be not echoed. //// CAUTION //////////////////////////// //// If you lost this passphrase, ← パスフレーズを失念すると、保存したデータを //// you'll never access sd0d. ← 取り出す方法はありません。ご注意下さい。 ///////////////////////////////////////// Passphrase: ← 暗号化のパスフレーズを入力します(入力内容は表示されません)。 Passphrase: ← 確認のため、再度パスフレーズを入力します ~~ 続く ~~
暗号化されたパーティションにデータを保存するには以下のように、2段階の手順を踏みます。
? : ? ->target Searching storage device Please make sure the device inserted. Then press ENTER -> sd0a ?sd0d ← 「?」の付いているものが暗号化された パーティションです(このままでは読めません)。 target device->sd0d ← このパーティションを指定して、 Passphrase: ← パスフレーズを入力します。 sd1 at scsibus3 targ 1 lun 0: <OPENBSD, SR CRYPTO, 006> sd1: 525MB, 512 bytes/sector, 1076656 sectors softraid0: CRYPTO volume attached as sd1 sd0a ?sd0d +sd1d ← パスフレーズが正しいと新しいディスク sd1dが現れます。 target device->sd1d ← sd1dを保存先に指定し、 以下、通常の手順で保存を実行します。 sd1d : ? ->saveas Name of avedd ata->fugu-demo Your data will be saved as ``fugu-demo''. sd1d : fugu-demo ->sync Sync current mfs as ``fugu-demo'' , OK? [y/N] -> y copying /ram to /mnt/livecd-config/6.7/amd64/fugu-demo (30688KB approx.): 25.0MiB 0:00:38 [9673KiB/s][[===========================> ] 83% ETA 0:00:07 waiting for pax to finish ... syncing ... done. sd1d : fugu-demo ->bye
保存されたデータを以降の起動時に読み込む時も保存の場合と同様、2段階の手順を踏みます。
============================================ = ______ __ _ = / ____/ | |_| |__ = / /____ ______ __ _| /_ _/_____ = / ___/ / / / __ \/ / / | | | | / _ | = / / / /_/ / /_/ / /_/ /| | | |_| (_) |__ =/_/ \____/\__ /\____/ |__| \___/____/__/ = __/ / = /___/ = = Welcome to FuguIta - OpenBSD Live System = http://fuguita.org/ ============================================= scanning partitions: sd0a sd0b sd0d cd0a FuguIta's operating device(s): sd0a cd0a. Which is FuguIta's operating device? -> sd0a activating swap partition: /dev/sd0b user memory: 239 MB Enter mfs size in MB. (0MB is auto) [default: 0MB] -> mfs size will be automatically allocated Boot modes: 0: fresh boot - standard mode as a live system 1: fresh boot - less memory, faster boot (/usr is non-writable, can't pkg_add) 2: fresh boot - works using only RAM (about 1GB or more of RAM required) 3: boot with retrieving saved files from storage device or enter passphrase for an encrypted volume 4: boot with retrieving saved files from floppy disk 5: interactive shell for debugging ->3 ← 起動モード3を選択 scanning partitions: sd0a sd0b sd0d cd0a Device(s) found: encrypted: sd0d ← This is the encrypted volume. Which is FuguIta's storage device? -> sd0d Passphrase: ← パスフレーズを入力 ↓ パスフレーズが正しいと、新たにディスクが現れます。 sd1 at scsibus3 targ 1 lun 0: <OPENBSD, SR CRYPTO, 006> sd1: 525MB, 512 bytes/sector, 1076656 sectors softraid0: CRYPTO volume attached as sd1 Passphrase successful: Select boot mode again... Boot modes: 0: fresh boot - standard mode as a live system 1: fresh boot - less memory, faster boot (/usr is non-writable, can't pkg_add) 2: fresh boot - works using only RAM (about 1GB or more of RAM required) 3: boot with retrieving saved files from storage device or enter passphrase for an encrypted volume 4: boot with retrieving saved files from floppy disk 5: interactive shell for debugging ->3 ← 再度起動モード3を指定します。 scanning partitions: sd0a sd0b sd0d cd0a sd1d Device(s) found: loadable from: sd1d ← 新たに現れたディスクから読み込めます。 encrypted: sd0d Which is FuguIta's storage device? [default: sd1d] -> sd1d ← 指定して読み込み /dev/sd1d : available data; fugu-demo config name -> fugu-demo Copying files from flash to ram ... done ~~ 続く ~~
このディスクは起動完了後も見えているので、データを保存する時に改めてパスフレーズを入力する必要はありません。
いままではほとんどの場面で、LiveDVD版かLiveUSB版の河豚板のどちらか一方を使う想定で説明を行ってきましたが、もしPCにLiveDVDとLiveUSBの両方を装着して起動したらどうなるでしょうか? あるいは、LiveUSBを2つ作って、それを二つとも装着して起動したら?
河豚板はそのような場合にもうまく動作するように設計されています。
LiveDVDとLiveUSBの両方を装着して起動した場合について説明します。
まず、電源を入れた直後にDVDとUSBのどちらが起動するかですが、これは 河豚板を起動する で説明したようにPCのBIOSメニューの設定によります。
次に、運用デバイス(ディレクトリ /fuguita にマウントされ、OSとして使用されるデバイス)ですが、河豚板のシステムが書き込まれたデバイスが2つ以上検出された場合は、
scanning partitions: wd0i wd0j cd0a sd0a sd0d FuguIta's operating device(s): cd0a sd0a. Which is FuguIta's operating device? ->
のように使用可能なデバイスを列挙し、どれを使用するかユーザに尋ねるようになっています。
【メモ】
⇒上の例ではwd0iとwd0jは内蔵ハードディスクという想定です。内蔵ハーディスクにはWindowsがインストールされていて、CドライブとDドライブの2つのパーティションが存在しているような場合、このような表示になります。
保存されたデータを読み込む場合も同様に候補が複数ある場合はどれを使うかユーザに尋ねます。例えばLiveUSBが2本挿された状態で起動モード3を選択した場合、以下のようにsd0d、sd1dの2つの候補が表示されます;
Boot modes: 0: fresh boot - standard mode as a live system 1: fresh boot - less memory, faster boot (/usr is non-writable, can't pkg_add) 2: fresh boot - works using only RAM (about 1GB or more of RAM required) 3: boot with retrieving saved files from storage device or enter passphrase for an encrypted volume 4: boot with retrieving saved files from floppy disk 5: interactive shell for debugging ->3 scanning partitions: wd0i wd0j sd0a sd0d sd1a sd1d Device(s) found: loadable from: sd0d sd1d Which is FuguIta's storage device? ->
usbfadmコマンドでデータを保存する場合も、設定やファイルを保存する で説明したように、usbfadmのtargetコマンドを使用して保存先のデバイスを指定できます。
以上のことを応用すると、以下に挙げるような運用が可能となります。
【メモ】
⇒USBメモリはデータの保存時/復帰時にのみマウントされるので、それ以外の時ははずしておけます。
この、河豚板の「起動と運用は別々のデバイスで行える」という特徴をさらに活かし、OpenBSDと河豚板を共存させる ことや WindowsやLinuxと河豚板を共存させる ことも可能になっています。これらについては次節以降で紹介します。
【メモ】
⇒なお、起動時の設定入力を省略できるようにする で説明した設定入力の自動化は、全パーティション中に noasks ファイルが1つしかない場合に実行されます。2つ以上の noasks ファイルが検出された場合は安全のため自動実行は中止され、手動入力に移行します。
河豚板を実行しようとしているPCにすでにOpenBSDがインストールされている場合、そのインストール済みのOpenBSD内に河豚板のファイルを置くことでLiveDVDやLiveUSBを装着していなくても河豚板を起動することができます。
原理としては、既存のOpenBSDパーティションに河豚板のカーネルとISOイメージを置き、既存のブートローダを利用して河豚板のカーネルを起動する、という方法になります。
以下、設置と起動の方法を説明します。
まず既存のOpenBSDを起動し、rootでログインします。
次に、ルートディレクトリ直下に「ISO」というディレクトリを作成します。
この /ISO ディレクトリに河豚板のサイトからISOイメージをダウンロードし、展開します。
# mkdir /ISO # cd /ISO # ftp http://mirror.ginzado.ne.jp/pub/FuguIta/FuguIta-6.0-amd64-201612251.iso.gz Trying 110.92.1.251... Requesting http://mirror.ginzado.ne.jp/pub/FuguIta/FuguIta-6.0-amd64-201612251.iso.gz 100% |**************************************************| 322 MB 07:48 338634465 bytes received in 468.48 seconds (705.90 KB/s) # ls -l total 661632 -rw-r--r-- 1 root wheel 338634465 Dec 29 00:55 FuguIta-6.0-amd64-201612251.iso.gz # gunzip FuguIta-6.0-amd64-201612251.iso.gz # ls -l total 1427648 -rw-r--r-- 1 root wheel 730744832 Dec 29 00:55 FuguIta-6.0-amd64-201612251.iso
ISOイメージの中に含まれている河豚板のカーネルをルートディレクトリ直下にコピーします。 vnconfig(8)はISOやUSBメモリのイメージファイルを記憶デバイスとしてアクセスできるようにするコマンドです。
# vnconfig vnd0 FuguIta-6.0-amd64-201612251.iso # vnconfig -l vnd0: covering FuguIta-6.0-amd64-201612251.iso on wd0a, inode 25986 vnd1: not in use vnd2: not in use vnd3: not in use # mount -r /dev/vnd0a /mnt # ls -l /mnt total 1427119 -r-xr-xr-x 1 root bin 71452 Apr 4 2015 boot -rwxr--r-- 1 root wheel 2048 Dec 27 11:59 boot.catalog -rw-r--r-- 1 root wheel 5569179 Dec 27 19:19 bsd-fi -rw-r--r-- 1 root wheel 5577796 Dec 27 19:19 bsd-fi.mp -r-xr-xr-x 1 root wheel 72328 Dec 27 19:19 cdboot -r-xr-xr-x 1 root wheel 2048 Dec 27 19:19 cdbr drwxr-xr-x 2 root wheel 2048 Apr 18 2014 etc -rw-r--r-- 1 root wheel 719388672 Dec 27 19:19 fuguita-5.8.ffsimg # cp -p /mnt/bsd-fi /mnt/bsd-fi.mp / # umount /mnt # vnconfig -u vnd0 # vnconfig -l vnd0: not in use vnd1: not in use vnd2: not in use vnd3: not in use #
以上で設置作業は完了です。
【メモ】
⇒データの保存と復帰を行いたい場合は livecd-config というディレクトリを作成します。ただし、ISO ディレクトリと同じ場所には作れません。なぜなら、ISO ディレクトリが作成されたパーティションは、河豚板稼動中は書込み不可でマウントされるからです。従って、livecd-config の作成に適切なパーティションは、例えば /home や /var など、別パーティションのマウントポイント直下ということになります。
次に起動方法ですが、PCが起動し、カーネルメッセージが表示される直前に「boot>」というプロンプトが数秒間表示されます。
ここで何もしないと既設のOpenBSDシステムが起動しますが、起動したいカーネルを入力すると、そのカーネルが立ち上がります。
boot> bsd-fi.mp
この「bsd-fi.mp」がマルチプロセッサ用の河豚板カーネルです。 シングルプロセッサ用の河豚板カーネルを起動したい場合は「bsd-fi」と入力します。
【メモ】
⇒以上の説明では ISO ディレクトリと livecd-config ディレクトリはルートディレクトリ直下に作成しましたが、OpenBSDのファイルシステムが作成されているパーティションの直下であれば、ルートディレクトリ直下でなくとも動作します。
河豚板ではWindowsのNTFSやFAT、LinuxのEXT-2, EXT-4ファイルシステムでフォーマットされたパーティションも運用デバイスとして用いることができます。
この方法は OpenBSDと河豚板を共存させる で説明した手順とほぼ同様な方法です。つまり、
だたし、WindowsやLinuxのファイルシステムから河豚板を使用する場合は、以下のような制限があります。
通常、河豚板はスワップを使用せずメインメモリだけで動作しますが、ノーマルなOpenBSDと河豚板が共存している ような環境では、OpenBSDのスワップパーティションを検出し、さらにそれを有効化します。
Which is FuguIta's operating device? -> wd0a activating swap partition: /dev/wd0b activating swap partition: /dev/wd1b
この例では、/dev/wd0b と /dev/wd1b の2つのスワップパーティションが見つかり、両方とも有効になっています。
スワップパーティションは検出と同時に有効化されます。これを無効/有効にする設定はありません。
【メモ】
⇒何らかの理由でスワップを使用したくない場合(例えば、スワップパーティションにバッドセクタが存在するためプロセスが異常終了するおそれがある、ディスク上にメモリイメージを残したくない、など)場合は、起動モード5「interactive shell for debugging」を選択します。
選択後、シェルが立ち上がったらswapctl(8)コマンドを-dオプション付きで実行し、スワップを無効化します。
シェルを抜けると再度起動モードの選択になりますので本来の起動モードを選択し、処理を再開します。
通常Unix系のOSでは、/etc/fstabというファイルでマウントするパーティションを指定します。
そのため、ユーザがマウントするパーティションを追加や変更したい場合は、fstabの記述内容を変更します。
ところが河豚板では、fstabファイルの内容を変更し再起動してもその内容はファイルシステムのマウント状況に反映させません。
河豚板では起動時の初期化中、PCに接続されている全てのディスクデバイスが調査され、システムパーティションの検出などが行われます。また、必要に応じてユーザからの指定も受け取ります。
最後に、その結果を受けてfstabが自動的に生成され、それを基にファイルシステムのマウントが行われます。
そのため、ユーザがfstabを変更し保存を行っても、その内容は次回起動時に上書きされてしまいます。
マウントするパーティションを追加したい場合は、/etc/fuguita/fstab.tailというファイルにその内容を記述します。
例として、sd2というディスクのeパーティションを/ram/optというディレクトリに追加でマウントしたい場合、以下のような手順になります。
/dev/sd2e /ram/opt ffs rw 0 1
# mkdir /ram/opt
/etc/fuguita/fstab.tailファイルの内容は自動生成された/etc/fstabファイルの末尾に追加され、その後ファイルシステムのマウントが行われるようになっています。
【メモ】
⇒マウントポイントはmfs内(/ramディレクトリより下)に作成する必要があります。
⇒/ramディレクトリ直下のディレクトリやファイルは、起動時にルートディレクトリから自動的にシンボリックリンクが張られます。従って、/ram/optは/optとしてアクセスすることができます。
河豚板では、dtjsetupというコマンドを実行すると、日本語のデスクトップ環境を導入することができます。
以下は、dtjsetupの実行例です。
# dtjsetup ← dtjsetupの起動 (root, 一般ユーザのどちらでも使用できます) #========================================== # Welcome to dtjsetup # Desktop (and Japanese) setup utility # # for FuguIta-6.6-amd64-202001171 #========================================== Which desktop software will you install? ← デスクトップ環境の選択 1: no desktop (wm only) 2: [rox-filer] 3: xfce 4: mate 5: lumina 6: lxqt -> ← [ENTER]のみを入力すると[ ]で囲まれた 項目を選択したことになります。 Which window manager will you install? ← 前項で1(デスクトップ環境なし、ウィンドウ・ 1: cwm マネージャのみ)、あるいは2 (rox-filer)を 2: fvwm 選択した場合はウィンドウ・マネージャを 3: twm 選択します。 4: [icewm] 5: fluxbox 6: jwm -> Will you setup Japanese language environment? [y/N] -> y ← 日本語環境を導入するか? Which input method will you install? ← input method (日本語入力ソフト)の種類を 1: [scim-anthy] 選択 2: uim-gtk 3: fcitx-anthy 4: ibus-skk -> *** You selected icewm as desktop software. *** Installing Japanese environment is YES. *** Japanese input method is scim-anthy. *** Checking your root authorization... *** OK. *** Checking network accessibility... *** OK. *** Installing packages: rox-filer icewm ja-kterm ja-sazanami-ttf mixfont-mplus-ipa mplus-fonts scim-anthy Will you continue? [y/N] -> y ← 続行するかどうかの確認 quirks-3.183 signed on 2020-01-31T18:21:51Z rox-filer-2.11p3:libiconv-1.16p0:ok rox-filer-2.11p3:xz-5.2.4:ok : icewm-1.6.1:libsndfile-1.0.28:ok icewm-1.6.1:ok Ambiguous: choose package for ja-kterm a 0: <None> 1: ja-kterm-6.2.0p9 2: ja-kterm-6.2.0p9-xaw3d Your choice: 1 ← kterm (漢字ターミナル) のパッケージが2種類あり、 ja-kterm-6.2.0p9:ok どちらを導入するかの選択 : scim-anthy-1.2.7p11:ok Running tags: New and changed readme(s): /usr/local/share/doc/pkg-readmes/glib2 /usr/local/share/doc/pkg-readmes/gtk+2 /usr/local/share/doc/pkg-readmes/scim --- +ja-sazanami-ttf-20040629p3 ------------------- You may wish to update your font path for /usr/local/share/fonts/sazanami --- +mixfont-mplus-ipa-20060520p7 ------------------- You may wish to update your font path for /usr/local/share/fonts/mixfont-mplus-ipa --- +mplus-fonts-063 ------------------- You may wish to update your font path for /usr/local/share/fonts/mplus-fonts *** /root/.xsession already exists. ← .xsession (Xの初期設定ファイル)が既に *** This will be replaced with a new file. ある場合は古いファイルをバックアップする。 *** and the old one will be renamed to /root/.xsession_20200206_170903. *** Rewrite .xsession configuration file. ← .xsessionを更新するか? Will you continue? [y/N] -> y Copy this .xsession file to /etc/skel ? [y/N] -> y ← .xsessionを/etc/skelにコピーするか? コピーすると、以後、新規にユーザ アカウントを作成した際、今回の設定が 引き継がれる。 *** Japanese environment and related software have been set up. *** However, the time zone has not yet been set to JST. Set timezone to JST? [Y/n] -> y ← タイムゾーンを日本標準時に設定するか? *** When you use this machine both running OpenBSD and Windows. *** You may set the hardware clock to JST instead UTC. Set hardware clock to JST? [Y/n] -> n ← PCの内蔵時計を日本標準時に設定するか? (Windowsと共存している場合に有用) *** all installation and configuration completed. *** Check your /root/.xsession and login to X if OK. *** Note: You can save this configuration and addtionally installed softwares *** by using usbfadm utility. *** And can reload them at next boot time by selecting boot mode 3.
#ref(): File not found: "DeskTop.jpg" at page "河豚板ガイド/3-運用編"
以上の設定を行った後でログアウトし、xenodmのログイン画面からログインしなおすと、導入したデスクトップ環境が立ち上ります。
デスクトップ環境では pkg_add コマンドを使用して各種アプリケーションを追加することができます。
【メモ】
⇒河豚板の導入から各種アプリケーションのインストールまでをさらに詳しく解説したOpenBSDライブシステム「河豚板」の日本語デスクトップ環境を構築するという記事を技術情報共有サイトQiitaにて公開しています。こちらもご覧下さい。
河豚板の起動時の設定で、ログイン方法の選択 で説明したように、コンソール画面から行う方法と、X Window Systemのログイン画面(xenodm)からログインする方法を選択します。
コンソール画面からのログインを選択した場合でも、X Window Systemのログイン画面(xenodm)からログインする方法に後で変更できます。 それには OSの設定値を変更する で説明したように、/etc/rc.conf.local ファイルの内容を変更します。
以下の例は、rcctl(8)を使用して xenodem を有効にする例です。
$ doas rcctl enable xenodm $ doas rcctl ls on check_quotas cron library_aslr ntpd pf pflogd slaacd smtpd sndiod sshd syslogd xenodm #
rcctlコマンドでxdmを有効にすると rc.conf.local に「xdm_flags=」という行が付け加えられることがわかります。
$ cat /etc/rc.conf.local xenodm_flags= $
【メモ】
⇒テキストエディタで rc.conf.local を直接編集しても同じ結果が得られます。
OpenBSD 5.7以前はrcctlコマンドが開発されておらず、テキストエディタによる編集が正規の設定手順でした。
設定変更後usbfadmで保存を行い、以降、モード3で起動すればxdmが立上ります。
【メモ】
⇒xdmが表示されている状態で<Control>+<Alt>+<F1>を押すと通常のテキストログイン画面に切り替わります。この仮想コンソールは全部で12面あり、<Control>+<Alt>+<F1>から<Control>+<Alt>+<F12>まで割り当てられています。Xの表示は5番目の仮想コンソールに割り当てられているので、<Control>+<Alt>+<F5>を押すと、Xの画面に戻ります。
OpenBSDは半年に一度、メジャーリリースが行われており、このとき OpenBSD 5.8 → OpenBSD 5.9 のようにバージョンが変わります。
そしてその半年にもセキュリティや安定性の向上などに関する修正が行われており、OpenBSDの公式サイトでも http://www.openbsd.org/errata60.html で修正情報が提供されます。
河豚板もこの修正情報への追従を行っており、現行で公開されている版はいままでの修正情報が全て適用されたものとなっています(実際には、適用作業と動作確認を行うため修正情報の公開からは数日程度のタイムラグがあります)。
なお、河豚板で現在運用中のOSのバージョンを確認するには次のようにコマンドを実行します。
$ uname -a ← OSのバージョンを確認 OpenBSD fugu-demo.localnet 5.8 RDROOT.MP#2 i386 $ sysctl kern.version ← カーネルのバージョンを確認 kern.version=OpenBSD 5.8-stable (RDROOT.MP) #2: Wed Nov 11 13:18:48 JST 2015 root@nimbus5.localnet:/opt/fi/5.8/sys/arch/i386/compile/RDROOT.MP $ cat /usr/fuguita/version ← 河豚板のバージョンを確認 5.8-201512272
この節では、現在お使いの河豚板を最新版にアップデートする方法を解説します;
これは、河豚板がベースとしているOpenBSDのメジャーリリースが行われた場合です。例えば、
FuguIta-5.8-amd64-201504161 ↓ FuguIta-5.9-amd64-201510255
ですが、これは河豚板のベースとなっているOSがOpenBSD 5.8からOpenBSD 5.9に変っています。
OpenBSDのメジャーリリースが変っている場合、システムのアップデートは困難です。
その理由は、OpenBSDがバージョンアップすると、システムコールの仕様変更、共有ライブラリの互換性のないバージョンアップ、コマンドのや追加・削除や仕様変更などが大幅に行われるため、過去の環境を保ったままバージョンを移行することが現実的ではないためです。
OpenBSDのメジャーリリースを跨いでの移行は、以下のような方法が推奨されます;
これは、
FuguIta-6.0-amd64-201511297 ↓ FuguIta-6.0-amd64-201512051
のようにOpenBSDのバージョンを表す「6.0」の部分が変っていないことで確認できます。
この場合はシステムの変更は部分的なものにとどまっていますので、ユーザデータの移行などは必要ありません。 システムの移行は、以下の手順で行います。
LiveDVDの移行手順
LiveDVDの場合はメディアの部分的な書き換えはできませんので、新しいバージョンのLiveDVD版河豚板を作り、それを使用する形になります。
USBメモリに保存したデータについては、そのまま起動モード3で読み込んで使用できます。
LiveUSBの移行手順
LiveUSBの場合は、fiupdate (FuguIta update)というコマンドを用いることで、起動しているLiveUSBのアップデートを行うことができます。
fiupdateを使うには、アップデート対象のLiveUSBをモード0、1あるいは2で起動します。
次に、配布サイトより新しいバージョンのISOイメージとSHA256ファイルをダウンロードし、その後、fiupdateを起動します。
【メモ】
⇒LiveUSBをアップデートに使用するのはISOイメージファイルです。*.imgファイルではないことにご注意下さい。
⇒SHA256ファイルは、ダウンロードしたファイルの内容が壊れていないことをチェックするためにfiupdateが使用します。total 606752 -rw-r--r-- 1 root wheel 310651490 Oct 7 01:12 FuguIta-6.7-amd64-202010071.iso.gz -rw-r--r-- 1 root wheel 562 Oct 8 06:25 SHA256 fugu-demo# cat /usr/fuguita/version 6.7-amd64-20209041 fugu-demo# fiupdate 202010071 fiupdate - Live Updater for FuguIta LiveUSB Version/Arch: 6.7/amd64 (FuguIta-6.7-amd64-20209041) Checking... environment: ok Note: This software is currently in beta testing. Use this at YOUR OWN RISK. We recommend that you run this command in fresh boot (boot mode 0, 1, or 2). Alternatively, you must quit all application software and save all your data before updating this FuguIta device. All daemons, including xenodm, will be stopped before the update. Please note that all X sessions will be aborted. Do you proceed? [y/N] -> y Checking... checksum: (SHA256) FuguIta-6.7-amd64-202010071.iso.gz: OK file layout: liveusb existing files: ok decompressing FuguIta-6.7-amd64-202010071.iso.gz... 9296MiB 0:00:31 [9.51MiB/s] [================================>] 100% ETA 0:00:00 Now ready to update FuguIta-6.7-amd64-20209041 to FuguIta-6.7-amd64-202010071. This machine will reboot immediately after update completed. Do you proceed? [y/N] -> y stopping all daemons... cron(ok) ntpd(ok) pflogd(ok) slaacd(ok) smtpd(ok) sndiod(ok) sshd(ok) syslogd(ok) overwriting uniprocessor kernel... 8.66MiB 0:00:06 [1.37MiB/s] [================================>] 100% ETA 0:00:00 overwriting multiprocessor kernel... 8.69MiB 0:00:04 [1.84MiB/s] [================================>] 100% ETA 0:00:00 overwriting filesystem image... 9864MiB 0:05:30 [3.05MiB/s] [================================>] 100% ETA 0:00:00 update completed. now rebooting... syncing disks... doneアップデート完了後、PCは自動的に再起動します。
LiveUSBアップデート後の運用は今までと変りなく、データの移行等をする必要もありません。
【メモ】
⇒fiupdateをネットワーク経由、あるいはX Window System上で実行すると、以下のような警告が表示されます。It seems you are running this script on X Window System, via network or something like this. In this situation, during update, corresponding processes will be killed and then update may fail. Running this on direct console device is highly recommended. Continue anyway? [y/N] ->fiupdateは、システムファイルを更新する前に全てのデーモンを停止します。この時、ネットワークが切断されたりXのセッションが終了して、アップデートが失敗する可能性があります。
ですので、fiupdateはコンソールデバイス上で直接実行するようにして下さい。
河豚板をモバイル環境の端末として使うためには、基本的な部分は固定環境での運用と大きく変わるところはありません。
しかしモバイル環境特有の事情を考慮し、設定を追加するとより効率的に運用できる面もあります。
この節ではそのような設定項目としてノートPCの電源関連について解説します。
現在のPC、とりわけノートPCにはACPI (Advanced Configuration and Power Interface)やAPM (Advanced Power Management)という仕組みがあり、バッテリーなどの電源装置の監視や制御を行うことができます。
OpenBSDではこれらの仕組みはacpi(4)、及びapm(4)として実装されており、管理用のコマンドを通じてアクセスすることができます。
acpiやapmの管理は、apmd(8)というデーモンにより行います。
apmdの状態確認と設定を行います;
$ doas -s Password: # rcctl get apmd apmd_class=daemon apmd_flags=NO ← apmdは無効(動作しない)設定になっている。 apmd_timeout=30 apmd_user=root
apmdを有効にします。
# rcctl enable apmd # rcctl set apmd flags -A ← CPU負荷に応じてCPUクロック周波数を自動で変化させる # rcctl start apmd # rcctl get apmd apmd_class=daemon apmd_flags= apmd_timeout=30 apmd_user=root #
設定が完了したらusbfadmコマンドを使用して保存し、河豚板をモード3で再起動します。
apmdが稼動している状態では、apm(8)というコマンドで状態の監視と制御が可能です。
$ apm Battery state: high, 89% remaining, 57 minutes life estimate A/C adapter state: not connected Performance adjustment mode: auto (1000 MHz)
以下の例では、apmコマンドに-Lフラグを与えて、CPUが常時低クロックで動作するように設定しました;
$ apm -L $ apm Battery state: high, 88% remaining, 42 minutes life estimate A/C adapter state: not connected Performance adjustment mode: manual (1000 MHz)
バッテリーなどハードウェアの状態は、sysctlコマンドやsystat(1)コマンドでもモニタできます。
$ sysctl hw.sensors hw.sensors.acpitz0.temp0=55.50 degC (zone temperature) hw.sensors.acpiac0.indicator0=Off (power supply) hw.sensors.acpibat0.volt0=14.80 VDC (voltage) hw.sensors.acpibat0.volt1=15.30 VDC (current voltage) hw.sensors.acpibat0.current0=1.19 A (rate) hw.sensors.acpibat0.amphour0=1.12 Ah (last full capacity) hw.sensors.acpibat0.amphour1=0.21 Ah (warning capacity) hw.sensors.acpibat0.amphour2=0.07 Ah (low capacity) hw.sensors.acpibat0.amphour3=0.92 Ah (remaining capacity), OK hw.sensors.acpibat0.amphour4=2.15 Ah (design capacity) hw.sensors.acpibat0.raw0=1 (battery discharging), OK hw.sensors.acpibtn0.indicator0=On (lid open) hw.sensors.acpidock0.indicator0=Off (not docked), UNKNOWN hw.sensors.cpu0.temp0=55.00 degC
$ systat sensors 3 users Load 0.40 0.42 0.37 Wed Dec 30 04:18:11 2015 SENSOR VALUE STATUS DESCRIPTION acpitz0.temp0 56.50 degC zone temperature acpiac0.indicator0 Off power supply acpibat0.volt0 14.80 V DC voltage acpibat0.volt1 15.26 V DC current voltage acpibat0.current0 1.08 A rate acpibat0.amphour0 1.12 Ah last full capacity acpibat0.amphour1 0.21 Ah warning capacity acpibat0.amphour2 0.07 Ah low capacity acpibat0.amphour3 0.90 Ah OK remaining capacity acpibat0.amphour4 2.15 Ah design capacity acpibat0.raw0 1 raw OK battery discharging acpibtn0.indicator0 On lid open acpidock0.indicator0 Off unknown not docked cpu0.temp0 56.00 degC
systatコマンドはデフォルトでは5秒おきに状態を更新し、表示を続けます。「q」を入力すると終了します。
apmコマンドはまた、PCを休止状態にすることができます。
休止状態にするにはapmコマンドの他、zzz(8)やZZZ(8)などのコマンドも使用可能です。また、PCの機種によっては特定のキーに休止動作が割り付けられているものもあります。
休止からの復帰方法は機種により異なりますが、電源ボタンを短かく押したり休止キーを再度押したりするものが多いようです。
【ご注意】
!!スタンバイ、スリープやハイバーネートのような休止動作を行うと、USBデバイスは切り離され、復帰時に再接続されます。従ってUSBデバイス上のファイルシステムをマウントしているLiveUSB版河豚板はシステム復帰後、正常に動作しなくなりますのでご注意下さい。
!!PCの機種によっては休止動作がうまくいかないものがあります(スタンバイはできるがサスペンドやハイバーネートはできない、休止状態から復帰できない、あるいは動作が不安定で時々復帰に失敗する、など)。使用にあたっては事前の動作確認をお願いします。
Xを使用している時は、xsetコマンドでディスプレイを制御できます。ホームディレクトリ直下の .xinitrc 内に以下のような行を追加します;
xset s on ← スクリーンセーバーを有効にする xset s 180 ← スクリーンセーバーの動作開始時間(秒) xset +dpms ← ディスプレイを省電力モードに移行
この例の設定をおこなうと、マウスやキーボードの操作が180秒以上行われない場合、ディスプレイが省電力モードになります。
ネットワークの設定はネットワークの基本設定で説明したように/etcディレクトリ以下のいくつかのファイルで行われますが、河豚板ではgennetconfsというコマンドを用いることでそれらのファイルを生成することができます。
また、ネットワークの設定は複数持つことができ、chnetconfというコマンドで切り換えて使うことができます。
河豚板では、ネットワーク関連の設定ファイルは/etc/fuguita/netconfs下のサブディレクトリに格納され、ネットワークを起動する前にそのサブディレクトリの中のファイルが/etcにコピーされ、その後、ネットワークが設定されます。
初期ブートで行った設定は、/etc/fuguita/netconfs/defaultの中にあります。
例として、自宅用に「home」、職場用に「office」という2つの設定を追加してみます。
まず、officeから。これは、イーサネットに接続し、固定アドレス設定での使用を想定しています。新しい設定を追加するには、設定名「office」を指定してgennetconfsを起動します。
fugu-demo# gennetconfs office =================================================== = gennetconfs: generate network configuration files =================================================== Hostname with domain part (FQDN): only host name without domain part is also OK. -> fuguita.office.local IP protocol version(s) to be enabled: 4, 6, 46, 64 or "none" 4: enable only IPv4 6: enable only IPv6 46: give priority to IPv4 name resolution 64: give priority to IPv6 name resolution none: operate as standalone [64] -> 4 Network Interfaces: Choose one NIC type Name -------- ----- ------------ bge0 ether Broadcom BCM57765 urtwn0 wifi GW-USValue-EZ GW-USValue-EZ [bge0] -> bge0 IPv4 - address and routing: Enter "auto" or "IPv4_address[/mask] [default_gateway]" "auto" is an automatic setting by DHCP. The "/mask" part can be specified in either format, such as "/255.255.255.0" or "/24". If there is no default gateway, set the second field to "none" or leave it blank. [auto] -> 192.168.20.115/24 192.168.20.254 DNS servers: up to 3 IP addresses, separated by spaces -> 192.168.20.254 writing configured values to: /etc/fuguita/netconfs/office/myname /etc/fuguita/netconfs/office/mygate /etc/fuguita/netconfs/office/hosts /etc/fuguita/netconfs/office/hostname.bge0 /etc/fuguita/netconfs/office/resolv.conf ====================================================== = end of gennetconfs: = Use chnetconf utility to activate this configuration ======================================================
gennetconfsによる設定が完了すると、「/etc/fuguita/netconfs/設定名」の中に設定ファイルが作成されます。
fugu-demo# cd /etc/fuguita/netconfs/ fugu-demo# ls -l total 24 drwxr-xr-x 2 root wheel 144 Nov 25 05:46 default drwxr-xr-x 2 root wheel 240 Nov 25 07:00 office drwxr-xr-x 2 root wheel 96 Nov 18 05:49 templ.head drwxr-xr-x 2 root wheel 0 Nov 18 05:49 templ.tail fugu-demo# ls -l office total 40 -rw-r----- 1 root wheel 23 Nov 25 07:00 hostname.bge0 -rw-r--r-- 1 root wheel 36 Nov 25 07:00 hosts -rw-r--r-- 1 root wheel 15 Nov 25 07:00 mygate -rw-r--r-- 1 root wheel 21 Nov 25 07:00 myname -rw-r--r-- 1 root wheel 56 Nov 25 07:00 resolv.conf fugu-demo# ls -l /etc/ | grep netconfs lrwxr-xr-x 1 root wheel 28 Nov 25 06:56 myname -> /etc/fuguita/netconfs/default/myname drwxr-xr-x 6 root wheel 192 Nov 25 06:59 netconfs
これらの設定を実際に反映させるには、chnetconfユティリティを使用します。
chnetconfを実行すると、指定された設定ファイルを、/etcにコピーした後、「sh /etc/netstart」を内部的に実行し、ネットワークの設定を変更します。
【メモ】
⇒設定ファイルのうち、mynameファイルだけはコピーではなくシンボリックリンクになります。これは/etc内のネットワーク設定が、/etc/fuguita/netconfs内のどの設定を使用しているか、を示すためです。
fugu-demo# chnetconf -l ← 現在の設定を表示 *default ← この設定が有効 office fugu-demo# chnetconf office fuguita# chnetconf -l default *office ← この設定に変更された fuguita# ifconfig ← インターフェース設定を確認 bge0: flags=8843<UP,BROADCAST,RUNNING,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500 lladdr 10:9a:dd:6c:11:0c index 1 priority 0 llprio 3 groups: egress media: Ethernet autoselect (100baseTX full-duplex,rxpause,txpause) status: active inet 192.168.20.115 netmask 0xffffff00 broadcast 192.168.20.255 urtwn0: flags=8802<BROADCAST,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500 lladdr 00:22:cf:46:6d:e6 index 4 priority 4 llprio 3 groups: wlan media: IEEE802.11 autoselect (OFDM54 mode 11g) status: no network ieee80211: nwid "" # ping www.google.com ← 疎通を確認 PING www.google.com (172.217.175.68): 56 data bytes 64 bytes from 172.217.175.68: icmp_seq=0 ttl=115 time=28.318 ms 64 bytes from 172.217.175.68: icmp_seq=1 ttl=115 time=25.842 ms 64 bytes from 172.217.175.68: icmp_seq=2 ttl=115 time=26.137 ms ^C --- www.google.com ping statistics --- 3 packets transmitted, 3 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max/std-dev = 25.842/26.765/28.318/1.104 ms
引続き、同様に設定「home」を作成してみます。こちらはWi-Fi接続でIPv6はSLAAC、IPv4はDHCPという手順を使用してアドレスの自動設定を行えることを想定しています。
fuguita# gennetconfs home =================================================== = gennetconfs: generate network configuration files =================================================== Hostname with domain part (FQDN): only host name without domain part is also OK. -> fuguita.home.local IP protocol version(s) to be enabled: 4, 6, 46, 64 or "none" 4: enable only IPv4 6: enable only IPv6 46: give priority to IPv4 name resolution 64: give priority to IPv6 name resolution none: operate as standalone [64] -> Network Interfaces: Choose one NIC type Name -------- ----- ------------ bge0 ether Broadcom BCM57765 urtwn0 wifi GW-USValue-EZ GW-USValue-EZ [bge0] -> urtwn0 Wi-Fi settings: SSID -> my-wifinet WPA Key -> my-wpa-secret-key IPv6 - address and routing: Enter "auto" or "IPv6_address[/prefixlen] [default_gateway]" "auto" is an automatic setting by SLAAC. The "/prefixlen" part can be an integer between 0 and 128. If there is no default gateway, set the second field to "none" or leave it blank. [auto] -> IPv4 - address and routing: Enter "auto" or "IPv4_address[/mask] [default_gateway]" "auto" is an automatic setting by DHCP. The "/mask" part can be specified in either format, such as "/255.255.255.0" or "/24". If there is no default gateway, set the second field to "none" or leave it blank. [auto] -> writing configured values to: /etc/fuguita/netconfs/home/myname /etc/fuguita/netconfs/home/hostname.urtwn0 /etc/fuguita/netconfs/home/resolv.conf ====================================================== = end of gennetconfs: = Use chnetconf utility to activate this configuration ====================================================== fuguita# chnetconf -l default home *office fuguita# chnetconf home fuguita# chnetconf -l default *home office fuguita# ifconfig bge0: flags=8802<BROADCAST,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500 lladdr 10:9a:dd:6c:11:0c index 1 priority 0 llprio 3 media: Ethernet autoselect (100baseTX full-duplex,rxpause,txpause) status: active urtwn0: flags=a48843<UP,BROADCAST,RUNNING,SIMPLEX,MULTICAST,AUTOCONF6TEMP,AUTOCONF6,AUTOCONF4> mtu 1500 lladdr 00:22:cf:46:6d:e6 index 4 priority 4 llprio 3 groups: wlan egress media: IEEE802.11 autoselect (OFDM54 mode 11g) status: active ieee80211: nwid my-wpa-secret-key chan 10 bssid 1c:b1:7f:27:5c:de -62dBm wpakey wpaprotos wpa2 wpaakms psk wpaciphers ccmp wpagroupcipher ccmp inet6 fe80::222:cfff:fe46:6de6%urtwn0 prefixlen 64 scopeid 0x4 inet 192.168.10.113 netmask 0xffffff00 broadcast 192.168.10.255 inet6 2409:........:8d47 prefixlen 64 autoconf pltime 604795 vltime 2591995 inet6 2409:........:1974 prefixlen 64 autoconf temporary pltime 77241 vltime 172795 pflog0: flags=141<UP,RUNNING,PROMISC> mtu 33136 index 5 priority 0 llprio 3 groups: pflog
これで、従来のdefaultを含め、3つのネットワーク設定が作成されました。
これらの設定はchnetconfユティリティを使用して、いつでも切り換えることができます。
この項ではgennetconfs、chnetconfコマンドの応用としてWi-Fiデバイスの導入方法について説明します。
OpenBSDでは様々なWi-Fiデバイスがサポートされていますが、中にはそのままでは使用できず、ファームウェアのダウンロードとインストールが必要なデバイスがあります。
【メモ】
⇒ファームウェアのダウンロードが必要な事情については、OpenBSDのサイトに以下のような記述があります;
OpenBSD FAQ - Wireless Networking
https://www.openbsd.org/faq/faq6.html#Wireless
In order to use some wireless cards, you will need to acquire firmware files with fw_update(1). Some manufacturers refuse to allow free distribution of their firmware, so it can't be included with OpenBSD.
(訳) 一部のワイヤレスカードを使用するには、fw_update(1)でファームウェアファイルを取得する必要があります。 メーカーによっては、ファームウェアの自由な配布を拒否しているため、OpenBSDに含めることはできません。
このようなWi-Fiデバイスは、
という手順で使用することができます。具体的な手順は以下のとおりです。
1. ファームウェア不要のデバイスで設定を行い、インターネットに接続
起動時に、以下のようにファームウェア不要のデバイスを用いてインターネットに接続できるように設定します。
ほとんどの有線LAN(イーサネット)デバイスや、あるいは一部のWiFiデバイスはファームウェアを必要としません。
Network Interfaces: Choose one NIC type Name -------- ----- ------------ bge0 ether Broadcom BCM57766 urtwn0 wifi GW-USValue-EZ GW-USValue-EZ [bge0] -> bge0
2. ファームウェアをダウンロードし、インストール
rootでログインし、fw_updateコマンドを実行。ファームウェアのダウンロードとインストールを行います。
fugu-demo# fw_update -v Path to firmware: http://firmware.openbsd.org/firmware/7.0/ Installing: inteldrm-firmware intel-firmware urtwn-firmware inteldrm-firmware-20201218:100%|OK intel-firmware-20210608v0:100%|OK urtwn-firmware-20180103p0:100%|OK fugu-demo#
【メモ】
⇒fw_updateは、起動時に自動的に実行されていますが、念の為、手動でもう一度実行しています。
3. 接続設定を使いたいWi-Fiデバイスに変更
ファームウェアがインストールされたら、接続設定をWi-Fiデバイスに変更し、動作を確認します。
fugu-demo# gennetconfs wifi ← 設定ファイルを生成 =================================================== = gennetconfs: generate network configuration files =================================================== ~略~ Network Interfaces: Choose one NIC type Name -------- ----- ------------ bge0 ether Broadcom BCM57766 urtwn0 wifi GW-USValue-EZ GW-USValue-EZ [bge0] -> urtwn0 ← Wi-Fiデバイスを選択 Wi-Fi settings: SSID -> my-wifinet ← Wi-FiのSSIDと WPA Key -> my-wpa-secret-key ← パスワードを入力 ~略~ ====================================================== = end of gennetconfs: = Use chnetconf utility to activate this configuration ====================================================== fugu-demo# chnetconf wifi ← ネットワークを今行った設定に変更 fugu-demo# ping www.google.com ← 接続を確認 PING www.google.com (216.58.220.100): 56 data bytes 64 bytes from 216.58.220.100: icmp_seq=0 ttl=114 time=33.656 ms 64 bytes from 216.58.220.100: icmp_seq=1 ttl=114 time=28.933 ms 64 bytes from 216.58.220.100: icmp_seq=2 ttl=114 time=26.193 ms 64 bytes from 216.58.220.100: icmp_seq=3 ttl=114 time=21.949 ms ^C --- www.google.com ping statistics --- 4 packets transmitted, 4 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max/std-dev = 21.949/27.683/33.656/4.253 ms
以上でWi-Fiのファームウェアのインストール完了です。 最後に変更した内容をusbfadmコマンドを使用して保存します。この設定を指定しモード3で再起動すれば、この設定を継続して使用できます。
# usbfadm -r ======================================== = Sync current mfs as fugu-demo into /dev/sd1d = : :